2017-12-11

なぜ、外国人旅行者は空港でガチャを買うのか?
第3回

03 海外の方に売れてるガチャは?
※2022年4月より電通テックから電通プロモーションプラスへ社名変更しました。



    森川――ガチャの特徴の一つに、多彩なコンテンツというのがあります。ガチャってオモチャのイメージが強く、また、アニメとか漫画のイメージも強いですが、実際は企業コラボとして、企業の製品をミニチュア化したりとか、デザイナーさんの作品を立体化したりとか、あとは電通テックさんとの「パンダの穴」などのクリエーティブなアイディアを立体化するという、そういったコンテンツの幅は、小さいお子様からお爺ちゃんお婆ちゃんまで楽しんでいただいています。

    そのコンテンツが「日本」のある側面を表しているという強みががあるので、そこを真っ直ぐ出すことによって、ガチャを一回まわせば「日本」を楽しめるという魅力がそもそも存在しています。それと、もう一つは低価格帯ですよね。100 円、200 円、300 円、400 円で、「日本」を楽しめるという。


    飯田
    ――そこ大きいですよね。

    森川――そうですね、はい。実は海外に非常に親和性があると思います。

    飯田――そこがまた小銭で買えるっていうものにつながってますよね。

    森岡――だけどタカラトミーアーツさんは、金額に結構こだわってますね。
    「パンダの穴」のガチャを200 円で売っていくんだっていう。

    森川――そうですね。ぶっちゃけ利益は少ないです。

    飯田
    ――あははは(笑)。


    森川
    ――弊社はガチャメーカーとしては、マシーンと商品の両方を作っている数少ないメーカーで、常に業界のパイオニアでいなければならないと思っています。世の中に対してガチャがどういう価値を持っているかを常々考えていまして、その中で商品化をするにあたり、そのコンテンツのファンが買いづらいというのは一番したくないなと。とにかく人様のコンテンツ、キャラクター、企業コラボ、全てを大事にしっかりと届けなければならないというのが、商品を作る上でプライオリティーが高く来るので、そうなった時に商品仕様に対して買いやすい金額、儲けが少なくてもいいから、とにかく預かったものを、責任を持って人々に届けるという発想から頑張って価格を下げています。

    森岡――素晴らしいですね。

    森川――結果、利益が少ないという…。

    森岡――なるほど。こういう思いも含めて、お客様にガチャを楽しんでもらえたらいいですね(笑)。


    森川――まあそうですね。弊社の企画メンバーは、本当に作品への愛情が強く、もう本当に責任持ってやっているのが、ちょっとそこは自信を持って言えるところかなと。

    森岡――きっと、お客様にも伝わりますね。

    飯田――こういったガチャの商品を成田空港さんに導入して、売れ筋と言いますか、分析もされていると思いますが、そのあたりはいかがででしょうか。

    森川――そうですね、売れ筋というのははっきりと出ていまして、1つは今ご一緒に取り組ませて頂いている「パンダの穴」、あとディズニー、スター・ウォーズ、ポケットモンスター、この4カテゴリーはとにかく売れています。あとこれは本当に意外でしたが、初めはやはりお土産ということで、日本だから伝統工芸だろと思い、こけしなどの商品を自信満々に出していたんですけど、思うように売れなくて。


    飯田――最初は出していたんですか。

    森川――出していました。他社さんの商品も含めて販売しましたが、実際出してみたら、前者の方が全然売れます。海外の人に何故かと聞いてみると、ポケットモンスターとかディズニーは海外のものだと、ポーズなどにバリエーションがなく、日本人は、こういったものをポーズをかわいく決めたりとか、かわいく編集したりとか、そういうところが日本らしさだよと。あとは「パンダの穴」であれば、日本人は頭で考えたアイディアを商品化するという発想が本当に凄いと、そのアイディアをプロダクトに落とし込むという発想が海外にはあまりなくて、そこも日本らしさ、という様に言って頂いたことがあって、大事なのはそこだなってところを学びました。

    飯田――本当に面白いなって思ったのが、伝統的な日本ぽいものよりも最近のコンテンツや、 見たこともないようなオリジナルコンテンツの方が売れるというのは、意外でしたし 面白いですね。

    森川――シャクレって世界共通だった、というのが一番びっくりしました


    飯田――「シャクレルプラネット」は日本でもかなり売れていますが、初対面で海外の方にも売れるのが面白いですね。ガチャというのがチープトイではなくて、日本のサブカルと言いますか、カルチャーの1 つになっているのかなって思っています。海外の方は面白いと思ったら直感で買われます。それが日本の伝統的なものではなくて、例えば「パンダの穴」でしたら、全く見たこともないわけですが、日本のカルチャーとして買われていると感じました。もしかしたら海外のマーケットというのも十分考えられると思いました。あとやはり日本の技術ですかね。200円でこんなに小さくて、ここまでこだわっているのは海外の方から見て、非常に興味深いと言いますか、納得して買われているのではないでしょうか。


    森岡
    ――けっこうコスパがいい、とかそういうつぶやきも見ますしね。

    森川――こんな造形なのに200円とか。

    飯田――あともう展示の什器の設計もそうですが、一点一点造形もちゃんと見せるというとこにもつながっているのかなと。

    森川――そうですね。

    飯田――いい機会なので、パンダの穴の商品についてお聞きしたいのですが、日本ではまずまず売れていますが、海外の方と日本での買われ方とは少し違うところがありますが、パンダの穴が海外の方にウケている理由としては森川さんの視点から見ると、どんなことが言えますか。

    森川――ん~、まあ正直そこはわからないところですが、先程、海外の方が言っていたように、ワッと思ったアイディアをすぐに商品化をするところが、物珍しさというか他にはない、というところがウケてるというのはありますよね。逆に、シュールなものはあまり動かない気がします。

    飯田――あーなるほど。

    森川――パッと見た瞬間に面白い!と思えるまでに時間がかかるものって、日本人だとそれを読み込もうとするじゃないですか。「これはこうでこうで、ああこういうことか、よし買おう」となりますが、海外の方達はそこまで距離があると少し動きづらくなります。

    飯田――やはり驚きは、「パンダの穴」の「パラ斉藤さん」が世界の名だたるキャラクターを抑えて、成田空港さんでは一番売れているというのは、非常にビックリしました。


    森川――確かに(笑)。

    飯田――私も何だろうこの結果は、と非常に驚いています。日本では、そんなに動いた商品ではなかったですが、ダントツで成田空港さんで売れています。1つは、SNSで海外に拡散されたのではと思っています。海外の方の誰かが、これ面白いとSNSでツイートしたところ、一気に広がって行った。「パラ斉藤さん」目がけて売り場に買いに来る人が結構いたと思います。

    森川――パラ斉藤さんって、売り場での一発ウケがものすごく良くて。

    飯田――海外の方のほうが、パッと理解できたってことですね。

    森川――日本人って、結構深読みするのかもしれないですね。これがあった瞬間にこの世界観がなんだろうって考えながら買う部分では、「パラ斉藤さん」はストーリーがしっかりしている分、そこまでいくのに時間が掛かりますが、海外の方はビジュアルを見た瞬間に、これが面白いか面白くないかを判断されているので、そういう部分のクオリティーがすごく高い商品なのかなと。


    飯田――日本だと海外の方には日本的なものがウケるという概念がありますが、「パラ斉藤さん」は、それを軽々と飛び越えていて、何かそこに新しいビジネスのヒントが潜んでいると思うんですよね。そこを紐解くと今まで見たこともない、「何だコレは!」というモノに対してお金を払うマーケットが見えてくると思います。今商品を開発する時は、データを元にマーケティングをしているケースが圧倒的に多いですが「パラ斉藤さん」はそういうことを意識的に排除して作っているので、従来のマーケティング手法を無視したマーケティングといいますか、「パラ斉藤さん」のケースは非常に面白いデータだと思います。






    撮影:三浦 咲恵
    Written by: BAE編集部

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