2017-12-08

なぜ、外国人旅行者は空港でガチャを買うのか?第2回

02 ガチャは日本のカルチャー
 ※2022年4月より電通テックから電通プロモーションプラスへ社名変更しました。
 

飯田――もう一つ今回成功した要因の一つに「JAPANESE CAPSULE TOY GACHA」という ブランドを作り、パッケージ化したところが非常に大きかったと思います。実は問題点がいい具合に機能していて、今回問題点が2つ有りました。1つは、 海外の方の場合ガチャの遊び方を理解していない人が多い点と、あとガチャは知っ ているけども子供のチープトイという認識を持っている方が多い。大体そのどち らかで、この問題点がいい方向に繋がったと思っています。この辺り、 問題点をどうやって克服し、解決していったかを話してもらえますか。

徳井――最初のきっかけは、打ち合わせの中でスタッフの一人が、「ガチャはお土産で持っていくと海外の友達も喜んでくれる」という話をしていて、その時に海外の方も小さなフィギュアに込められたガチャの面白さを理解してくれるというのがわかりました。なので、買うまでのプロセスでガチャに興味を持ってもらえればうまくいくのではと考えていました。


飯田――なるほど。デザイン性についてはどう?

徳井――海外の方は、ガチャのことを子供用のチープトイという印象を持たれています。しかし、日本のガチャは大人向けの商品もあります。なので海外の大人の方にも楽しんでもらうために、デザイン全体を大人向けに設計していきました。商品自体が小 さいモノなのに細かく作り込まれているので、ビシッとディスプレイをしていけば、 商品であるフィギュアが今までとは違った見え方をして、大人の方にも興味を持っ てもらえと思いました。


飯田――先程、森川さんが言ったギャップと言いますか、空港の中で「何だコレッ」という モノが出来た感じがすごくしました。それと、もう一つは言葉ですかね。言葉の力、メッセージの力といいますか、今回非常に機能したかなと思いますが、メッセージが生まれた背景を、少し話してもらえますか。

森岡――2つメッセージがあって「あまった小銭をオモチャに!」と「なぜか日本で売れてます。」というコピーがありますが、実はそれぞれ役割があって、まずガチャが分かっていない人たちに、どうガチャを紹介するかといった時 に、色々な言い方があると思うんですよ。「日本の簡単に買えるお土産ですよ」とか、その中でも打ち合わせの中で徳井君が言っていた小銭というところに 目を付けました。空港で持て余している小銭をどう処理しようかって考えるのは、 どこの国に行っても共通の課題であって、それを解決するというツールとしてガチャを紹介していくという考え方は、お互いにとってウィンウィンだなと思いました。そのガチャというシステムを紹介するコピーとして「あまった小銭をオモチャに!」というコピーを開発しました。


森岡――二つ目は、この商品はどういう商品なんだろうか、みたいな商品についての 考え方で「なぜか日本で売れてます。」というコピーですけど。日本で日本 のお土産という感じで、日本の今の旬な感じとか、そういったものをあまり嫌味な くアピールしすぎない程度な感じで言えないかなというところで、ちょっと引いた感じのコピーを開発しました。


飯田――二つともすごく素直なコミュニケーションの仕方かなと、それを抜け抜けとやって いるところに伝わりやすさとインパクトがあったのかなと思います。「なぜか日本で売れてます。」というのは、例えばパン屋さんとかで人気No.1とかあるじゃないですか。そうすると食べたことないけれど、なんかこれを買っちゃうとか(笑) そういう売りにつながるキャッチコピーになっていて非常にいいなと思ったのと、「あまった小銭をオモチャに!」も、そこに余ったお金があるからこれで買ってください、といったストレートなコミュニケーションですけれども、それがいやらしく感じさせない見せ方と一緒になって機能しているかなと。顔つきはまじめだけど言っていることは下世話とまでは言わないですが、かなりストレートに言っているギャップが非常に面白いなと思いました。

森岡――やっぱり目のつけどころがあまった小銭をオモチャに変えるというコンセプトがしっかりしているので、あまりコピーに味付けしなくて、むしろしない方が良かった、というのもあったなという気がしました。あとストレートなコピーになった理由はもう一つありまして、翻訳をすることを考えた時に、あまり表現しない方がいいのではないか、結局どういう風に味付けされるのか、アラビア語とかどうなっちゃうか分からないので、という理由もありました。その辺も含めていろいろコピーを考えましたが、いいなって思うものの中で、どう訳してもまあ大体どの国でも同じ様な意味として伝わる言葉にしました。


飯田――このあまった小銭の部分は、結構メディアに取り上げられましたよね。

森川――そうですね。あまった小銭の解決方法として取り上げられたメディアの方が多く、そこは少し修正をさせて頂きました。ただこの言葉には、すごくインパクトがありましたよね。空港さんと話す身としては、実は初めにこのコピーが出てきた時に内心ちょっとドキドキしていて、あまった小銭って人によってはイメージが…。ですが、意外にすんなり受け入れられ驚きました。「なぜか日本で売れてます。」もすごくいい言葉と思っていますが、本職がマーケティングなので、マーケティングの人間が「なぜか日本で」ってちゃんと把握しろよって怒られるかもしれませんが(笑)そういうことじゃなくてって(笑)真っ直ぐな言葉って、いろいろ受け取られ方が、人によって変わってしまうリスクはありますが、海外の方 に向けては真っ直ぐ言ったからこそ、よく伝わったのかなと思っています。

飯田――この「JAPANESE CAPSULE TOY GACHA」のもう一つの個性といいますか、多国語にしたところが非常に大きかったと思いますが、そのあたりはどうですか?

徳井――まずこれを設置した時に、空港で清掃をされている方も色んな国の方々が働いていまして、その方達が設置作業している僕らに声をかけてくるのが、すごく面白いなと思ってですね。「わたしの国の言葉がある」といったコミュニケーション がありました。メッセージを多国語にした効果が、設置した1 分で出て来て、 このデザインはうまくいくかもと思っていました。( 笑)


飯田――
これがまた、ワールドワイド感がすごく出ていて、またガチャとのギャップも出ているとすごく感じました。

森川――よく文字も絵ですって言うじゃないですか、自分がわからない言語って絵というか、 図形にしか見えなかったりしますが、わからないというのが逆に目に留まると思いました。自分にとって関係がある部分が1~2行だけで、あとは全部謎の図形じゃないですか、意味が分からないものがこれだけ並ぶと、それはそれで結構目に留まると思いました。

飯田――
やはりアラビア語が入ることで。

森川――ドッとインパクトが。

徳井――パソコンの書体に入ってなかったし(笑)。

森岡――アラビア語、何回も修正しましたね(笑)。

森川――修正の箇所がわからないっていう(笑)。

森岡――直ってません、みたいな(笑)。


飯田
――ここで、あまった小銭の話を少ししますと、使われないまま海外に持ち帰られる額は、年間で200億円以上という金額になっているらしく、1人平均で900円くらい持ち帰り、年間で約2800万人の海外旅行者がいるので、そこも新しいビジネスチャンスになると思いました。普通ビジネスというと誰かが予算を出さなければ成り立たない場合が多いですが、このプロジェクトは予算が無いところから始まっています。使われずに持ち帰えられる何百億円というお金を予算として取り込むことでビジネスを成立させています。ですが、一方で日本でも使われず、持ち帰った国でも使い道がないので、年間恐ろしい額のお金が捨てられていく現実もあります。その捨てられるお金を少しでも日本の経済効果に寄与するといいますか、モチベーションにも繋がっていくと思いました。

撮影:三浦咲恵
Written by: BAE編集部

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