2021-10-29

Z世代インフルエンサーが本音で語る若者ぶっちゃけ会議(前編)

映えはもう古い? クチコミしか信用しない? 聞こえてきた「Z世代」のリアルな声
1990年代後半以降に生まれた人口層、いわゆる「Z世代」が、これからの時代を牽引する新世代として注目を集めている。デジタルネイティブならではの感性、新しいジェンダー観、SDGsに象徴される社会課題への関心の高さなど、Z世代の特徴や価値観については日々話題にのぼっていますが、当事者たちは実際のところ、どのように思っているのでしょうか。

今回は、現役高校生を含むZ世代のインフルエンサーたちで構成された10代向け人気YouTubeチャンネル「CulTV(カルティービ―)」(チャンネル登録者数22.4万人
※1)のメンバー6名に、電通テックでインフルエンサーマーケティングを手掛けるコンテンツビジネス室と、若者に関する調査・分析を行う若者消費ラボのメンバー4名がインタビューを行い、Z世代の「本音」を聞いてみました。

※1……2021年10月現在
2022年4月より電通テックから電通プロモーションプラスへ社名変更しました。


【座談会メンバー】

<CulTV(カルティービー)>
〇芹沢 瞬/せりしゅん(24歳)
〇馬場 海河(21歳)
〇よきさん(23歳)
〇池田 翼/いけつば(22歳)
〇ゆな(16歳)
〇もか(17歳)
※2021年10月時点

<株式会社電通テック>
○コンテンツビジネス室 川崎誠也・北川未来
○若者消費ラボ 大木佳奈・永井崇史

※インタビューはリモートで実施しました。
※撮影時のみマスクを外しています。



情報収集にTikTokやインスタのセーブ機能を活用、「映え」よりも内容が大事


電通テック大木――
本日はよろしくお願いします。電通テックには「若者消費ラボ」がありまして、若者に関する調査や若者向けのプロモーション事例の調査などを行っています。ぜひ等身大のZ世代として、あるいはインフルエンサーとしての立場から皆さんの「本音」を、色々とお聞きできればと思います!

一同――よろしくお願いいたします!

左からよきさん、馬場海河、もか、ゆな、池田翼、芹沢瞬(敬称略)

左から永井崇史(電通テック若者消費ラボ)、北川未来(電通テックコンテンツビジネス室)、大木佳奈 (電通テック若者消費ラボ)

質問①
――TikTokやInstagramの「保存」機能を使ったことはありますか?

電通テック北川――私たち電通テックでは広告会社として、SNSの企業アカウントの投稿を企画してプロモーションのお手伝いをすることも多いのですが、Z世代の皆さんに投稿を見てもらうためには、どうすればいいのかというところで日々頭を悩ませています。そこで最初に、普段皆さんがどのようにSNSを利用しているかについてお聞きできればと思いました。

ゆな――TikTokのセーブ機能は結構使います。かわいい女の子の動画を保存して、後でスクロールしながら見られるようにしたり。インスタの保存機能はあまり使わないですね。インスタは保存するよりも、スクショをしてアルバムから見た方が早いので。



もか――私はスマホの容量がいっぱいなので(笑)、インスタはスクショではなく保存機能を使っているんですけど、好きなモデルさんの投稿とか、気になるグッズをまとめているアカウントの投稿を保存しています。自分のYouTubeチャンネルで購入品紹介の企画もしているので、今どんなものが流行っているんだろうと、後で参考にしていますね。


馬場海河(以下、海河)――僕の場合、TikTokでは動画を保存するっていうよりは、曲やスタンプを保存して、後でまたこの曲でTikTok撮ろうとか、この顔のスタンプ使おうということをしています。インフルエンサーとして、自分がキャッチしておきたいネタや素材をまとめておく感じですね。

よきさん――僕はTikTokの保存機能を知らなくてですね(笑)、一回も使ったことがないんですよ。インスタに関しては、自分の関わった仕事だとか、CulTVのメンバーと撮った投稿に対してもらったメンションとかを保存して、自分のポートフォリオ&思い出作りに活用しています。

質問②
――最近Instagramで、雑誌のように、情報がまとまった画像投稿を​よく見かけます。
そのような投稿は見たり、保存されることはありますか?

電通テック永井――企業の発信スタイルとして、どのような情報が保存されやすいのか知りたいです!

もか――私は保存してます。お洋服を買う時とか、コスメを買う時とかに役立つので、保存しておくと後で参考になるんですよ。

電通テック永井――そうですよね。画像とテキストが分離しているよりは、一緒にまとめておいた方が後から読み返しやすいですよね。

よきさん――企業のインスタ投稿でうまいなと思うのが、5枚くらい画像を投稿している時に、2〜3枚目に「よかったら保存してね」というメッセージを忍び込ませていることがあるんですよ。僕はちょっとひねくれてるので、絶対に保存しませんが(笑)。


質問③
――Z世代の間では、「映え」はもう古いですか?

電通テック大木――「インスタ映え」って一時期はやりましたよね。私はいまだに、意識しているんですけど……。

もか――今の女子高生は一枚一枚の写真の「映え」よりも、プロフィールページの統一感を意識している気がします。例えば、写真のフィルターを全部統一するなど。写真の雰囲気からその人の印象が固定化されてしまうので、なおさらインスタの投稿には気をつかっている子が多いと思いますね。

電通テック大木――なるほど。投稿した写真がそのまま、人となりを反映しているという感じなんですね。逆に人や企業のアカウントの投稿に対して反応する時は、「映える」写真の方がいいねしやすい、とかはありますか?

池田翼(以下、いけつば)――正直これまで「映えてるな」と思って、いいねしたことはないです。


一同
――(笑)。

いけつば――メンズだからというのもあるのかもしれないですけど、純粋にただ「いいな」と思ったから反応しているだけであって、「映え」を意識してる人ってそんなにいないんじゃないかな。


質問④
――SNSで企業のキャンペーンに参加された経験はありますか?

電通テック大木――例えばTwitterだったら、リツイートすれば景品がもらえます、みたいなキャンペーンってよくありますよね。ああいったキャンペーンに参加されたことはありますか。

芹沢瞬(以下、せりしゅん)――リツイートなどをして、参加したことがフォロワーに知らされてしまうキャンペーンには慎重な人が多いです。インフルエンサーの立場ならなおさらだと思います。


電通テック大木――確かにキャンペーンの内容によっては、ご自身の印象に影響があるかもしれないですからね。逆にLINEでお友だちになると特典がもらえる、というようなクローズなキャンペーンですと参加しやすくなりますか?

せりしゅん――それはありますね。

いけつば――キャンペーンの主催者が信用できるアカウントだったら、周りの人も何も思わないと思うので、我々も参加しやすいです。自分もじゃんけんで買ったらコーラが1本もらえるみたいな、誰でもやっているようなキャンペーンには参加したことがあります。

電通テック大木――メジャー感のあるキャンペーンなら参加しやすいということですね。インフルエンサーならずとも、参加したことが自分のフォロワーに周知されるか否かで、キャンペーンへの参加を迷う人は多いかなと思いました。


プロモーションのポイント

・Z世代のInstagramにおける「保存」⽤途は、商品やサービスのトレンドや、購⼊・利⽤の参考にしたい情報のクリッピングである。
・「雑誌⾵投稿」などユーザーが知りたい情報を⾒やすく編集加⼯する⼯夫が必要。
・投稿内容やプロフィールは、相⼿にどう思われたいかを意識し、写真投稿のフィルターを全て同じにするなど、「統⼀感」を⼤事に。





情報源として信頼しているのはAIのレコメンドと、信頼できる人の口コミ情報

質問⑤
――皆さん日々インフルエンサーとして情報発信をする立場にあると思うのですが、日頃どういった場所から情報収集をされていますか?


電通テック コンテンツビジネス室 川崎誠也

ゆな――TikTokの「おすすめ」はマジめちゃめちゃチェックしてます。おすすめで出てきた投稿を見て、いま何がはやってるんだろうというのがわかるし。あと朝のニュースも見てますね。「いまダイソーでこんな商品が売れてます」みたいなトレンド情報がけっこう参考になるんです。

よきさん――おすすめ欄は、自分の見ている動画の傾向に合わせてAIがおすすめしてくれていると思うんですけど、それを逆手にとって、これからも見たいなと思う分野の動画が流れてきたら、意識的にいいねを押すこともあります。「子犬のシャンプー動画、もっと見たいな」と思ったら、ポチッという感じで。

海河――僕の場合は、いち早く流行をキャッチしている人を見て、トレンドを把握している感じですね。今の時代は移り変わりが激しいので、むしろはやりに敏感な人を探して、0.5歩遅れて流行に乗るぐらいがちょうど良かったりします。



電通テック川崎――あまりにも最先端すぎる情報だと、視聴者がついていけないかもしれませんからね。


質問⑥
――情報収集の方法として、SNSだけでなく、テレビや雑誌といったマスメディアを見たり、お店やイベントに足を運んだり、といったこともされていますか?

電通テック川崎――
デジタルネイティブのZ世代はテレビや新聞、雑誌をほとんど見ないという印象があったのですが、実際のところはどうなのでしょうか。先ほどゆなさんがテレビのニュースでも情報をキャッチしているというお話があって、意外な印象がありました。

よきさん――今僕らがお話ししたのは、インフルエンサーの目線からどのように情報収集をしているかという観点でしたが、いち消費者の立場としては、僕はほとんどマスは見ていないですね。実際にかれこれ6年間テレビを持たない生活を送っているのですが、今って積極的に情報を取りにいかなくても自然に情報が入ってくるじゃないですか、SNSのタイムラインに流れてきたり、電車内のサイネージにニュースが表示されたり、別にこちらから情報を取りにいかなくてもいいんですよ。

電通テック川崎――受け身にしていても大まかな情報は入ってくるということですね。

よきさん――逆に積極的に取っていきたい情報に関しては、僕の場合はガジェットとかになるのですが、その分野に特化したクリエーターのYouTube動画をチェックしてますね。特に物を買う時は慎重になるので、信頼できる人の意見を参考にしたいです。僕はコスメにも興味があるのですが、例えば美容グッズであれば、マルチに情報を発信しているただただかわいい女の子が「これいいです」って紹介している声よりも、がっつり美容に特化した専門家の意見に耳を傾けたくなるじゃないですか。「この人が紹介しているのなら、いいものなのかな」って思っちゃいますよね。

電通テック川崎――テレビやネットだけでなく、電車内のサイネージなど、生活のあらゆるシーンで情報があふれている時代だからこそ、お金を使う時は信頼できる人の意見を参考にしたいという感覚はわかりますね。

よきさん――僕は、基本的にはクチコミしか信用してないですね。


プロモーションのポイント

・Z世代は、SNSのおすすめ(レコメンド)でトレンドを掴んだり、情報収集をする。
・信頼できる⾝近な⼈や専⾨家の、嘘偽り無い投稿に、情報価値を感じている。
・ユーザーが何に興味があるのか、SNS上における商品・サービスの投稿を誰がどのようにしているのか理解した上で、その時に適した⽂脈で⾃社商品・サービスの情報発信を考えるべき。





フレーズやメロディが印象的なCMや、漫画表現の広告はつい見てしまう

質問⑦
――最近、インスタントラーメンのCMや、清涼飲料水のCMが広告業界の中では話題なのですが、皆さんはどういう印象をお持ちですか。

もか――某メーカーのカップ麺のCMはフレーズやメロディが印象的で、私の小学生の妹も口ずさんでましたね(笑)。わかりやすい簡単な言葉で、頭に残りやすいリズム感だと幅広い世代の方に覚えてもらいやすいのかなと思います。

ゆな――自分でも歌いやすいCMは頭に残りますね。


いけつば
――シンプルに内容が面白いCMもいいですよね。テレビではないですけどYouTubeの広告で、3分間ぐらいの漫画風CMがたくさんあるじゃないですか。気になって、まんまと見ちゃってます。

ゆな――あるある、めっちゃわかる!


いけつば――動画の下に広告に関連したグッズが出てくるので、気になってクリックしてしまったこともあります。まだ購入したことまではないですけど、こんな商品があるんだ、という印象は頭に残りますね。

電通テック大木――なるほど。記事広告などで漫画を活用するプロモーション手法はここ数年のトレンドではありますが、動画広告においても漫画的な表現が、特にZ世代の皆さんにしっかり届いているというのは発見でした。


質問⑧
――SNSで企業のアカウントをフォローすることはありますか?

いけつば――PR系のアカウントなどはフォローすることはありますね。例えば映画の公式アカウントとか、何月何日から情報解禁するので、みんなフォローしてね、みたいな。


よきさん――
僕はガジェットが好きなので、家電ブランドのアカウントをフォローすることはありますね。バルミューダとか。

ゆな――私はアパレルブランドのアカウントをフォローしています。

電通テック大木――
アカウントを知るきっかけは、やっぱり好きなブランドだから自分から探して見つけたという感じでしょうか。

ゆな――
私の場合は自分の好きなモデルさんがタグ付けしていて、そこで初めて知ることも多いです。アカウントを調べてみて、自分の好みのブランドだなと思ってフォローするという感じですね。


質問⑨
――企業LINEの公式アカウントを友達登録することはありますか。

いけつば――LINEで友だち登録してくれたらクーポンあげますみたいなキャンペーンはその場ですぐにできるので、普通にしますね。

ゆな――いちいちお店のアプリをダウンロードして会員登録して……という手間がなく、二次元コードですぐ友だちになれるのが楽ですよね。お洋服とか飲食店のLINEアカウントがたくさんあるので、めちゃくちゃ友だち登録をしています。

電通テック大木――友だちになって特典をもらった後は、どうされていますか? その後もお得な情報とかが送られてくると思うのですが、チェックされていますか。

もか――自分がめっちゃ好きなブランドとか、今後もお店に行きそうなブランドさんはそのまま友だちとして残しますけど、スタンプだけに興味があって、その後も行くことがなさそうなブランドのアカウントだったらブロックしちゃう。

電通テック大木――逆にブロックしないのは、どのようなアカウントですか?


海河――ごはんが安くなるクーポンだけを定期的に送ってくれるアカウントがあるんですけど、それだけはブロックしないでチェックしていますね。友だちになった後に最初に送られてくる一通目、二通目のメッセージで、自分にとって有益なアカウントであるかどうかを判断しています。

電通テック大木――なるほど。初回と2回目のコミュニケーションで、どれだけ的確にメリット感を伝えられるかが大事なんですね。


プロモーションのポイント

・YouTubeの動画やTikTokのショートムービーを⾒慣れているZ世代には、短い時間ですぐ伝わるわかりやすさ、印象的なフレーズやメロディーが動画プロモーションのポイントに。
・LINEを基盤にした施策は有効だが、メリットがないと判断されればすぐにブロックされてしまう。
メッセージ投稿や、コンテンツづくり、加えて、パーソナルな顧客体験を提供し続けることで、はじめて効果が発揮される。



後編ではインフルエンサーとしてのCulTVメンバーが考える案件動画の在り方、そしてZ世代の持つ価値観についてお話を聞きます。

芹沢 瞬/せりしゅん
美容系やファッションセンスに定評あり。YouTubeやTikTokだけでなく、声優やバラエティタレントとしてなど活躍の幅を広げている。YouTubeチャンネル登録者数22.1万人(2021年10月現在)

馬場 海河
雑誌『Popteen』の専属モデルを務める他、俳優として、様々な舞台などにも出演する、マルチなクリエーター。YouTubeチャンネル登録者数10万人(2021年10月現在)

よきさん
ネットを中心としたトップクリエーターを抱えるプロダクション株式会社VAZの元社員で、せりしゅん、馬場海河、池田翼の元マネージャー。ゆるい雰囲気や世界観、歌唱力に人気がある。

池田 翼/いけつば
話題の恋愛リアリティショーで若者から注目を集めたクリエーター。
歌唱力や演技力にも定評があり、モデルとしてなど活躍の場を広げている。
YouTubeチャンネル登録者数7.05万人(2021年10月現在)

ゆな
現役高校2年生で、雑誌「Popteen」の専属モデルを務めるほか、女優、バラエティ番組出演などマルチに活躍する女子高生クリエーター。
YouTubeチャンネル登録者数64.6万人(2021年10月現在)

もか
“いつでも泣ける”を武器に「DUO presents TGC AUDITION 2020」を勝ち上がったシンデレラガール。デビューから僅か1年でTikTokフォロワー数20万人を達成した女子高生インフルエンサー。YouTubeチャンネル登録者数8.31万人(2021年10月現在)

川崎 誠也
株式会社電通テック コンテンツビジネス室
2017年電通テック入社。1994年生まれのミレニアル世代。主に「インフルエンサー」を活用したプロモーションの企画・キャスティングから制作まで手掛ける。
アニメのプロデュースおよび、物販催事のPR作業にも従事。

北川 未来
株式会社電通テック コンテンツビジネス室
2020年電通テック入社。1995年生まれのミレニアル世代。
「アニメ・キャラクター」や「インフルエンサー」を活用したキャスティング・タイアップサービスの提供や、自社IPの開発・プロデュース業務に携わっている。

大木 佳奈
株式会社電通テック 若者消費ラボ
2019年電通テック入社。1995年生まれのギリギリミレニアル世代。普段はプランニングから運用まで幅広い領域を担当。若者消費ラボの中でもSDGs関連に特化していて、自身でも日ごろからソーシャルグッドな行動を実践している。

永井 崇史
株式会社電通テック 若者消費ラボ
2019年電通テック入社。1996年生まれのZ世代として若者消費ラボの活動に参加。主に飲料メーカーを中心としたプランニングに従事。
プライベートでは筋トレとキャンプ、サウナが趣味。担当領域はヘルスケア/SNS。

五十嵐 響介
株式会社電通テック 若者消費ラボ
2013年電通テック入社。「若者消費ラボ」発起人であり、リーダーを務める。
記事執筆や外部講演など精力的に活動。
ご飯をつくるのも、食べるのも好き。スパイスカレーとつくりおき男子。担当は食・アニメ・昭和/平成レトロ。

Written by: BAE編集部

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