2023-01-25

デジタルヘルスは「課題解決型」に存在感CES 2023レポート【後編】

「より良い世界」を作るためのソリューションが続々登場
CESで注目されるカテゴリーの一つに「デジタルヘルス」があります。デジタルヘルスとは健康・介護などの分野にデジタル技術を活用し、人々の生活を豊かにしていくソリューションやそれに伴うイノベーションのこと。

WHOも「デジタル技術とヘルス・イノベーションの力を活用し、世界的な健康の達成と幸福を加速させる」と明言しており、今後はさらに注目が高まる分野の一つといえるでしょう。後編では、そのデジタルヘルスの分野で、CES 2023で実際に発表された注目のサービスやプロダクトをご紹介します。


AIを活用した自宅診断ソリューションに期待

今回は、人工知能(AI)を活用したヘルスケアのソリューションが目立ちました。韓国のスタートアップ企業SEVENPOINTONEが発表したのは、認知症および認知機能障害の早期発見を行う「AIzWIN」です。スマートフォンに2分間話しかけるだけで、スムーズに話せているか、正しく記憶できているかなどを分析。ユーザーの認知機能障害の状態を認識します。

韓国のスタートアップ企業SEVENPOINTONEが発表したAIzWIN 画像はCES 2023公式ページより

SEVENPOINTONEのCEOのEvan Lee氏に話を聞くと、人工知能(AI)を使った認知機能障害の認識には、12年に及ぶ研究開発に裏打ちされた特許取得済みのアルゴリズムが採用されており、異常を素早く察知するとのこと。今後は日本を含めグローバルに展開したいと話していました。

また、サントリーグループとして初のCES出展となったサントリーグローバルイノベーションセンターは、腸の音を計測・評価する腸活アプリGutNote(ガットノート)を発表。これはスマートフォンを腹部に当て、その音と振動から腸の状態を測定、AIが解析するというソリューションです。

画像はサントリー プレスリリースより

AIzWIN、GutNoteどちらも、スマートフォンを使うだけで自宅で手軽に測定できることがポイント。超高齢化社会と言われる日本では、「未病対策」が一つの大きな医療課題とされていますが、今まさに法整備が進むオンライン診療や、今回ご紹介したような人工知能(AI)を活用した手軽な診断サービスの登場といった動きは、課題解決の糸口として大いに期待できるでしょう。


メイクアップの自動化に見る「全ての人に開かれた世界」

ビューティテックにも、新しい波がやってきました。フランスのL'Oréalは、消せるタトゥープリントで人気となったPrinker(プリンカー) との提携で、携帯型軽量電子アイブロウメイクアップアプリケーターを発表し、話題となりました。

L'Oréal Brow Magicは、AR技術を使ってユーザーの顔をスキャン、本人に合った眉毛のメイクを素早く印刷するという優れもの。中身はプリンターのようなカートリッジになっており、専用のトップコートと組み合わせて使う

今回同社の発表の中で特に注目したいのが、リップメイク用のアプリケーター「HAPTA」。手や腕が不自由な方を対象に作られた、自動で口紅を塗ってくれるツールです。

CES 2023イノベーションアワード製品の「HAPTA」

手先の細かい動作に不自由さを感じている人が世界には約5,000万人いるという現状を鑑みて開発されたという、今回のプロダクト。L'Oréalは、このようなメイクツールを通じて、人々の自信を高め、自立を助け、美の自己表現力を高めることに貢献していきたいと意気込みます。


デザイン性が向上するウェアラブルデバイス

デジタルヘルス系のガジェットやツールは、日々ファッショナブルな方向へ進化を遂げているようです。

EARGOの発表したEargo 7は、中軽度の難聴者向け補聴器。厳密には"over the counter" または "OTC補聴器" と呼ばれるジャンルです。これはFDA(米国食品医薬品局)が市販できる補聴器に関する規制を緩めたことで親切された新しい補聴器カテゴリーで、医療機器ではないため、長時間にわたるフィッテングなどが不要で店頭購入が可能。装着してみるとかなり軽く、しかも見た目では全くわからないほど小さく違和感もありませんでした。

中軽度の難聴者向けOTC補聴器EARGO 7。小さくて軽い。
装着してみましたが、つけているかどうか他人からはわかりません

アメリカ企業のEvieは女性向けの指輪型アクティビティトラッカー「Evie Ring」のプロトタイプを発表しました。

Evie Ringのプロトタイプ。見た目もシンプルで、一見デジタルツールとはわからない

安静時心拍数、心拍変動、SpO2(酸素飽和度)、呼吸数、皮膚温変動、生理・排卵トラッキング、生理症状トラッキング、歩数、活動時間、消費カロリー、睡眠の質などの全てを記録可能な医療機器レベルのトラッカー

最近では、車椅子でも見た目にこだわったスタイリッシュなデザインが登場し、選択の幅は広がっています。恥ずかしいから、ダサいから使いたくない、身につけたくない、という医療機器に対する心理的障壁を「デザイン性」で乗り越えていくというソーシャルグッドなアクションは既に世界的な潮流。その波が、デジタルヘルスの世界にも来ていることが、今回の展示で感じられました。


世界的に注目が集まる「フェムテック」


2020年に日本でもフェムテック振興議員連盟が発足するなど、国をあげての関心が高まっている「フェムテック(女性特有の悩みをテクノロジーで解決する製品やサービス)」の分野ですが、CESでも、「フェムテック」的な観点を取り入れたプロダクトが登場していたことを、最後にご紹介します。

フランスのWithingsが発表したU-Scanは、トイレに取り付けることで尿の成分を測りスマートフォンに記録するという画期的な自宅用尿検査キットです。カートリッジは3タイプ、女性用の月経周期予測および排卵期判定ができるもの、体内の水分バランス測定、タンパク質と野菜のバランスがわかるものが用意されています。

U-Scanの本体。中央部分にカートリッジをはめ込んで使用する
トイレに装着するため測定時に手が触れることもなく衛生的


社会課題と連動するデジタルヘルスの展示

「個人」を超えて「社会」の課題解決を視野に入れたサービスやプロダクトが存在感を増していた今回のCES。デジタルヘルスの分野では「健康機器から医療機器へ」という潮流は既に昨年から見受けられましたが、より明確に社会課題と直結する展示や発表が増えたという印象がありました。

CES 2023を主催するCTA(Consumer Technology Association)が、今年の共通テーマとして掲げた「より良い世界を作るためのソリューション」その方向性は、デジタルヘルスにおいても今後大きな指針となっていきそうです。

Written by: BAE編集部

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