「Z世代」の行動分析から読み解く、新しいマーケティングのあり方——メンズ美容の観点から——【ウェビナーレポート】

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「Z世代」の行動分析から読み解く、新しいマーケティングのあり方——メンズ美容の観点から——【ウェビナーレポート】

急激に拡大する「Z世代」における「メンズ美容市場」。しかし、Z世代の消費行動は、理解しづらく、マーケティングアプローチに手をこまねく企業は少なくありません。本企画では、定量・定性データから読み解くZ世代の消費行動から、「Z世代×メンズ美容」へのマーケティング戦略のあり方を解説します。

※本記事は、「Generation Z Conference 2021 Z世代を語りつくす。~Z世代の専門家が集合~」(主催:株式会社ネオマーケティング)のウェビナーレポートです。弊社「+tech labo」研究員としてZ世代研究をマーケティング領域でリードする、堀かおりによる「Z世代の消費行動と、Z世代男子がけん引するメンズ美容市場について」の講演を元にお届けします。
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【登壇者プロフィール】
堀 かおり
2014年 電通テック入社。2018年5月より「+tech labo」の研究員となり、”Z世代”と”メンズ美容”を軸としたビジネス開発に従事。2018年11月にZ世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty (@boysbeauty_jp)」を立ち上げ、ビジネスプロデューサーとして参画。ユーザーとの対話を大切に、各種施策の企画立案から実施を担当。最近では、メンズ美容関連の商品開発やプロモーションにも携わる。 

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「Z世代」の実態と消費行動の特徴

「Z世代」の実態と消費行動の特徴
他の世代とは異なる価値観を持つZ世代。まずは、その実態と消費行動の特徴に迫ります。

1.従来のマーケティング手法だけでは、スマホネイティブであるZ世代には届かない

1日のスマホ時間が2時間以上という方が8割を占めるZ世代。特に TwitterとInstagramを中心に、SNSの占める割合が大きい点が特徴です。さらに半数近くが複数アカウントを用途によって使い分けています。
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(上) 出典  JNNデータバンク 2020年11月調査 「インターネット 主な使用目的③スマートフォン」
(下) 出典 同 「平日の私用でのスマホの1日あたり使用時間」
また、Z世代は商品の情報収集にもSNSを活用しており、購買行動も「買うこと」がゴールではなく「SNSでシェアすること」にまで伸びています。そのため、AIDMAやAISASといった従来のマーケティング手法だけでは、Z世代へのアプローチは困難です。
情報収集からファン化までを一連の購買サイクルとして捉え、「いかに商品のファンになってもらうか」という一貫性のあるストーリー構築が必要となります。

2.Z世代の購買行動の特徴は「キャラ作り消費」と「メリハリ消費」

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Z世代は場面に応じて自身のペルソナを器用に使い分けており、さらにSNSでペルソナごとに複数アカウントを使い分けるため、他世代以上にその傾向が顕著に見られます。そして、その表現手段してモノを買うのが、「キャラ作り消費」です。
「どのようなキャラに見せたいか」「その商品と、自分のキャラに整合性はあるか」で購買を判断します。
とはいえ、当然ながら購買行動は懐事情によって制限されるため、いかにコストパフォーマンスよく、理想の自分を実現・維持するかを重視。そこから生まれたのが、「メリハリ消費」です。
全身ユニクロの洋服にハイブランドのバッグを合わせて高見えの工夫をする。一人で完結する生活にはあまりお金を使わないが、友人とのお出かけや食事では金額には糸目をつけない。そうした行動で、お金をかけるところ、節約するところをシビアに判断しています。

3.Z世代へのアプローチは「個人」単位ではなく「コミュニティ」単位で考える

では、Z世代にどうアプローチするのが正解なのでしょうか。
その鍵を握るのは、「コミュニティ」への働きかけです。Z世代は仕事モードONの自分、サークル仲間やパートナーとのOFFの自分、そして趣味のカテゴリーごとという風に、コミュニティに合わせて”自分”を使い分けるのが特徴。そのため、「個」を追うのではなく「コミュニティ」単位で捉えるのが効果的です。
具体的には、「どのような視点で情報発信がされているのか」「何に不満を感じているのか」という「コミュニティ単位のユーザーボイス」から、マーケティング戦略に落とし込んでいくことが大切です。
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メンズ美容市場のこれまでとこれから

ここからは、現在当社が注視している「メンズ美容市場」の動向について説明していきます。

1.メンズ美容市場は急激に拡大している

「ジェンダーレス男子」という言葉が流行したのが2017年頃。そして翌2018年には、国内外のコスメブランドから、次々とメンズ向けコスメが発売され、メンズコスメ専門のブランドも多く誕生。さらに、2019年には百貨店にメンズコスメコーナーが大々的に設置され、2020年には、メンズ向けの美容専門誌が刊行されるなど、メンズ美容市場は加速度的な成長を続けています。
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2.メンズ美容市場におけるシェアの多くを「Z世代」が占める未来に

Boys BeautyのZ世代男子を対象とした定点調査では、Z世代の「コスメ」への興味関心は非常に高く、自身の目指すキャラクター演出のためにも欠かせないアイテムとなっています。
男性のコスメへのアクセスも容易になっている今、購買意欲とその目的が顕在化しているZ世代男子は、今後のメンズ美容市場をけん引する存在になると予想しています。
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メンズ美容市場をけん引するZ世代男子への効果的なマーケティング戦略

「Z世代×メンズ美容」市場におけるマーケティング戦略の鍵を握るのは「第三者の声」「使用感」「内面訴求」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.Z世代向け美容商品開発はジェンダーの垣根を超えて

Z世代がSNSで気になった商品を店頭に見に行き、その場で購入するという直線的な購買行動をとることは希です。実際は、店頭で試した上で、もう一度ネット上でレビュー等の「第三者の声」を入念に調査して、購入の判断に至ります。
さらに、自分に合う商品をコスパ良く手に入れたいため、モノさえ良ければメンズ用・ジェンダーレス・女性用も関係ありません。
そのため、Z世代の視点で一度ジェンダーの垣根を取り払い、第三者の声の影響を想定した上で、商品開発を進める必要があります。

2.Z世代へのプロモーションは「使用感」と「内面訴求」のメッセージ

購買前の徹底的な情報収集の中で、彼らが特に求めている情報は「使用感」です。「なりたい自分像に合うか」を最も重視するため、使用後のイメージがつきやすい「使用感」をレビューで慎重に見極めます。プロモーションの際にも、「使用感」を打ち出すと効果的でしょう。
また、Z世代男子が美容に気を使うのは「異性にモテるため」ではなく、「自分のため」です。そのため、「ワイルドに」「かっこよく」といった外見的訴求ではなく、「より自信を持てる自分になるために」「自分を好きになろう」といった内面、自信にフォーカスしたキーワードも、施策の重要なポイントとなります。

以下のウェビナーレポートでは、インフルエンサーとのリアル対談を掲載!

Z世代の実態についてより詳しく説明する「Z世代のメンズ美容市場のマーケティングレポート」詳細はこちら
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+tech laboが提案するZ世代向けメンズ美容マーケティングのあり方

最後に、今後のメンズ美容市場の動向予測から、具体的にどのようなマーケティング活動が求められるかを+tech labo独自の視点でご紹介します。
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1.2021年はメンズ美容市場の分岐点である

2021年はメンズコスメ市場の分岐点。メンズ美容の浸透に比例してユーザーの知識量も増え、今後は肌質などの悩みや特徴に応じた商品開発の視点と、説得力ある商品ストーリーがより求められるでしょう。
またコロナ禍では、メイクの機会が減る一方、スキンケアに力を入れるという新たな動きも見られます。
メンズコスメは、男性という購買モデルの特性上スキンケア・メイクの入門編として選ばれた後にブランドシフトが起こりにくい傾向もあります。そのため、新商品の開発時には、品質の高さとメッセージ性を丁寧に追求することがブランドの支持を得るためには重要になります。

2.メンズコスメの訴求方法を刷新。よりユーザー理解が重要に

+tech laboが様々なクライアントの商品開発に携わる中で感じた課題として、ユーザーの価値観の変化を捉えきれていないことが挙げられます。
この問題を解決するには、SNS上での自社製品へのレビューなど、市場からのフィードバックを受けてユーザーと視点を合わせていくチューニングが求められます。そのためには、Z世代と「直接」「なるべく継続的に」コミュニケーションを取ることが必要不可欠です。

Z世代は、求められている回答を察する能力が高いため、アンケート調査では本音を聞くことができず、積極的な歩み寄りなしには、正確なインサイトに辿り着けません。
Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信する Boys BeautyではZ世代との独自のコミュニティを築いており、リアルなコメントを引き出すファシリテーターの元で座談会やイベントなどの場を設けることが可能です。
Boys Beautyのフォロワー数は2021・09現在11,000人超。Z世代男子を中心に美容に関心の高い層に支持されています。その活動は、オフラインイベントを実施する他、Z世代のパネル活用(ヒアリング・座談会)などのクライアントサービスも広がっています。正確なインサイトに基づく商品開発やプロモーション戦略の場として、ぜひお役立てください。

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