「次世代販促ソリューション」 生活者と企業をつなぐ販促施策のあり方

「次世代販促ソリューション」 生活者と企業をつなぐ販促施策のあり方
筆者プロフィール
木川 心平 /Shimpei Kikawa
ソリューションプランナー
株式会社電通プロモーションプラス(株式会社電通デジタル出向)

2012年電通テック入社。2014-2018年電通PP局(現ABC)駐在。2021年7月より電通デジタルに出向。SP領域のプロデューサーを2年経験後、プランニング部門に配属。販促キャンペーンを中心に、アクティベーション領域全般の企画が得意。飲料/消費財メーカー、通信業界、製薬メーカー、商業施設等を担当。

テクノロジーの急速な発達や、ニューノーマル対応で目まぐるしく変わる生活者の購買行動。販促領域においても、デジタル販促や購買データ活用が広まりを見せています。一方で、新しい手法に飛びついたものの思うような結果を得られていないケースも多いのではないでしょうか。

この記事では、今本当に有効な販促のあり方について掘り下げてお伝えします。具体的なキャンペーンの例もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
chapter1

販促市場の概況と生活者行動の変容

マーケティング手法の変化と多様化した生活者の購買行動
まずは販促を取り巻く環境の変化を、データから読み解きます。

1-1.販促市場は群雄割拠の状態

近年大きな注目を集めているのが、販促市場です。その市場規模は6兆円を超える広告市場(マス四媒体・インターネット・プロモーションメディア)の倍以上とも言われており、プロモーション会社だけでなく、様々な会社が注力領域として参入しております。なぜ販促市場が注目を集めているかというと、D2Cやキャッシュレスの普及で、購買を起点にしたマーケティングが実現可能になったことが理由としてあげられます。

例えば、ある生活者が電子決済で商品を購入した場合、その方の広告接触の有無、事後購買までひとつのIDを中心に捕捉することが技術的に可能になりました。これまではECなどのオンラインでの購買のみでしたが、オフラインでも実現可能になります。
これにより分断していた獲得、購買、育成ファネルが垂直に統合。「販促」の定義が拡張し、生活者の購買データを保有するプラットフォーマーや、流通企業が積極的に購買データ活用のサービス開発に乗り出しております。
 デュアルファネル™は株式会社電通の登録商標です

1-2.生活者の購買行動は多様化

ニューノーマル時代を迎え、 生活者の購買行動も大きく変化しました。分かりやすい例ですとEC利用は高齢者を中心に拡大していますし、特別な時にしか頼まなかったデリバリーも日常的に使用する人が増えました。
物販系分野の BtoC-EC 市場規模及び EC 化率の経年推移 (市場規模の単位:億円)
出典 経済産業省 「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」より
出典 経済産業省 「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」より
また非接触が叫ばれる行動様式の中で現金を利用することへの抵抗感から、QRコード決済*などのキャッシュレス決済の利用者は急増しました。サブスクリプションと呼ばれる定期購買型サービスも普及しております。ただし、ECもデリバリーもキャッシュレス決済も昔から存在しているサービスです。それがここに来て一気に浸透したのは、感染症予防をきっかけに積極的に利用する生活者が増え、その利便性から利用が習慣化し、買い物をする際の選択肢の一つとして定着したのだと思います。ただ一方で、購入するものやシーンによっては、依然として対面や現金での購入を選択するケースも見られます。つまり生活者の購買行動が変わったという表現より「多様化した」という捉え方が正しいと私は考えております。

では、多様化した購買行動の中でどのような販促施策を展開すべきでしょうか?新しい時代に対応する販促の考え方を次の章でご説明します。
chapter2

今の販促において重要な視点

選択肢が多様化する中で、生活者・流通視点でメリットがあるか
生活者の購買行動や販促を取り巻く環境が変容すれば、当然ながらこれまで通りの販促を行っても効果は得にくくなります。この章では、販促施策を考える上で立脚すべき考え方について説明します。

2-1.生活者視点で買いたいか

chapter1で述べたとおり、市場と生活者行動は現在大きく変化しています。例えば店頭での販促手法はデジタル化していることは事実です。ただし、ここで気を付けなければいけないことが「リアルか」「デジタルか」という手法起点の話ではないということです。
一番重要なことは、生活者の視点から「便益があるか」これに尽きます。例えば多くのスーパー、コンビニで導入されているセルフレジですが、いまだに有人レジの方が長蛇の列となっているシーンをよく見かけるかと思います。これはまさに生活者の象徴的な行動で、決してデジタル=便益がある、とは限らないということです。

2-2.流通企業視点で売りたいか

EC利用が増えたのは事実ですが、リアル店舗の重要性は大きく変わりません。特にFMCG(日用消費財)の場合、スーパー、ドラッグストアは多くの生活者の購買接点です。しかしニューノーマル時代に入り、店内滞在時間の減少、試食などのデモ販売の制限、重要販促ツールだったチラシの削減など流通企業の状況も大きく変わりました。
chapter1で触れましたが、自社顧客の購買データを活用した広告配信などを新しい収益モデルとして積極的に取り組む流通企業も多くみられます。また利益率が高いPB商品の販売にこれまで以上に力を入れています。つまり、メーカー企業も「売り込み方」を変えていかなければいけないということです。例えば有名タレントを起用したCMや全国キャンペーンが商談の武器になりますが、商品を配荷する流通側のメリットがこれまで以上に問われるようになった気がします。
chapter3

これからの販促施策の考え方

生活者、流通、メーカーのWin-Win-Winの実現
生活者、流通、メーカー、3者のニーズにしっかりと寄り添った販促施策が今後求められてきます。例えば消費財メーカーが新商品を発売する際の販促施策を考えてみましょう。

①認知→②興味→③検討→④購買→⑤再購買

大きな流れはメーカー視点で①認知→②興味→③検討→④購買→⑤再購買とします。
※本来はもっと細かくファネル分解しますが、説明のため5つとさせてください

販促視点で最初に検討すべきは⑤再購買です。これを生活者視点、流通視点でひも解いていくと、
生活者視点「継続的に買うキッカケがあって、商品に満足している」
流通視点 「その商品を配荷し続けることで、自店舗の売上が上がる」

そしてその行動を喚起するための④購買は
生活者視点「購入メリットがあって、自分に合っていると思える」
流通視点 「その商品を配荷することでお客様が自店舗へ来店してくれる」
というイメージになります。

このように両者の視点から獲得したいパーセプションを逆算していき、それぞれに最適なソリューションを検討し、紡ぎ合わせることで施策を設計します。
生活者の継続的な購買、流通の継続的な配荷を起点に最良の①認知導線まで組み立てることで、効果の高い販促施策が実現できます。特に人口減少で新規顧客獲得効率が悪化している中で、いかに生活者一人一人の購買、来店意欲を高めていくか、という視点は非常に重要になってきます。つまり、これまで主流だった日販の異常値をつくる一斉的な施策から、購買起点で顧客LTV(Life Time Value)を高めていく販促施策へのシフトチェンジをしていく必要があると考えております。そして施策立案の重要なキーとなり、施策実施後のPDCAに必要な要素となるのが購買を中心とした生活者の行動データというわけです。
ただし、忘れてはいけないことが、最も重要なのは生活者の体験設計であり、データやソリューションはその設計を支えるパーツでしかないということです。

次の章では、購買を起点とした生活者の体験設計や流通視点を組み込んだ販促施策の具体例をご紹介します。
chapter4

具体的な販促施策の設計

キリンビバレッジ株式会社「生茶販促キャンペーン」
ここで私が実際にプランニングをさせて頂きましたキリンビバレッジ株式会社様の生茶キャンペーンについてご紹介したいと思います。
キリンビバレッジ株式会社「生茶販促キャンペーン」
<キャンペーン概要>
キャンペーン対象商品を購入して、貼付シールをスマホで読み込みLINEにて参加。
友だちへ情報※をシェアすると先着でLINEポイントがもらえる。
※情報は生茶の環境への取組みを伝える動画と本キャンペーン情報

当初ご担当者様より頂きました施策の要件が「ブランドのトライアル最大化」と「生茶の環境への取組みの認知拡大」でした。

ご相談を頂戴したうえで、私が大事にしたポイントは大きく2つです。
①生茶を好意的に買ってみたくなる
②生茶の環境への取組みに共感する

施策立案の際に生活者調査や市場データを分析していたのですが、分かったことは親しい友人からの情報は非常に好意的に受け止められ、共感を得やすいということ。そしてその情報は拡散ではなく、1to1で伝えられることが重要、ということです。このポイントを最重要視し、流通視点も踏まえながら施策を組み立てていきました。
具体的には友だちへの情報伝達に最適なLINEをプラットフォームに選定。参加頂いた方から友だちへLINEメッセージを通して、生茶の環境への取組みが分かる動画とキャンペーン情報を拡散する企画を立案。 インセンティブには生活者のトライアルのトリガーになり、流通の販売貢献度が高いLINEポイント先着配布を採用。そして上記のフローをLINE上で全て実装するシステムを開発。
生茶ブランドと生活者の最良の出会いを演出する体験設計を真ん中に据えた企画を設計し、実装、運用まで一気通貫で実施しました。その結果、非常に多くのお客様にご参加頂くことができ、生茶ブランドのトライアル、環境への取組みの認知拡大に大きく貢献しました。
chapter5

電通プロモーションプラスの強み

豊富な知見による施策設計力と実装力で販促をリード

5-1.生活者視点・流通視点での施策設計力

当社には販促施策を通じて得られた様々なノウハウが集積されております。どういったキャンペーン賞品が人気なのか、といった傾向把握、キャンペーン事務局に寄せられた生活者の声、店頭ツールを設置する流通側の声、様々な方からのリアルな声を聞いてまいりました。オンライン上で獲得できるデータに加え、この知見と両者の声を聞き続けられるネットワークこそが当社の最大の強みだと考えております。これにより生活者視点、流通視点で効果的な販促施策を設計することができます。

5-2.統合的な販促ソリューション実装力

従来型のはがき応募はもちろん、QRコードのシールの読み込み、高度なレシートOCRなど多種多様な手法の施策を実施してまいりました。そのため、キャンペーン応募における生活者の課題感は熟知しており、施策の目的に合わせて最適な「応募の仕組み」をつくることができます。
プラットフォーマーが提供するサービスを選定するだけでなく、クライアント企業様の課題に応じたシステムを開発できることが我々の強みです。また応募システムだけでなく、リテールソリューションにも力をいれており、キャンペーンだけでなく、統合的な販促施策を実装することができます。
筆者プロフィール
木川 心平 /Shimpei Kikawa
ソリューションプランナー
株式会社電通テック(株式会社電通デジタル出向)
木川 心平 /Shimpei Kikawa
当社は日本最大級のプロモーション会社として様々なクライアント企業様の膨大な販促施策を実施して参りました。だからこそ、生活者視点と流通視点で、最良を考え、最良をやり切れる、自信がございます。
販促施策でお困りの方は、是非一度、当社にお問い合わせください。

2012年電通テック入社。2014-2018年電通PP局(現ABC)駐在。2021年7月より電通デジタルに出向。SP領域のプロデューサーを2年経験後、プランニング部門に配属。販促キャンペーンを中心に、アクティベーション領域全般の企画が得意。飲料/消費財メーカー、通信業界、製薬メーカー、商業施設等を担当。


※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

CONTACT

お問い合わせ

お問い合わせ

お仕事のご相談やその他お問い合わせはこちら

資料ダウンロード

電通プロモーションプラスのソリューション資料一覧はこちら
page_top