2019-05-21

若年層がハマるアンケートアプリに見る「Z世代に刺さるポイント」とは?

アンケートアプリ「Powl」が若年層に支持される理由
現代の若者たちはデジタルネイティブで、さまざまな点でこれまでの世代と違いがあります。では、現代の若者たちの心をつかむためには、どんな点に注意すべきなのでしょうか?

国内最大級のスマホモニターを有する、若年層に人気のアンケートアプリ「Powl」を運営する株式会社テスティー 代表取締役 横江優希さんに「若年層に支持されるためのポイント」について、お話を聞きました。


お金ではなく、右脳で動く「若年層」

――若年層へのリサーチに強みを持つ企業は多くありません。まずは、そこに着目した理由を教えてください。

「ネットのアンケート調査は若年層に弱い」という課題がありました。なぜならアンケートはPCで回答する前提になっていたため、いち早くスマホに移行した若年層のユーザーのフォローができていなかったからです。

またPC向けのインターフェースは、スマホでは画面が小さくなり、入力しづらいものでした。

そこでテスティーでは、自社開発したチャットボットの技術を応用して、若年層をターゲットにした「スマホ専用のアンケートアプリ」を開発することにしました。直感的にわかりやすいUIや、ボットとの会話形式によるアンケートが支持を受け、現在のアプリモニター数はアンケートアプリとしては最大級の約170万人(*2019年4月末時点)、ユーザーは10代〜30代が8割以上を占め、さらに全体の6割が女性ユーザーとなっています。

アンケートアプリ「Powl」のユーザーは、若年層が中心

――それまで、若年層をターゲットにしたネットアンケートの対応が遅れていた理由はどんなところにあるのでしょうか?

日本の場合、お金を使うのは30代〜40代のユーザーで、彼らのニーズをいかに捉えるかというところに企業が注力していたからだと思います。

しかしトレンドが生まれるのは若年層、特にティーンからというのが世界的な流れです。ところが日本では、ティーンのインサイトはブラックボックス化し、「聞きたくても聞けない状態」になっていました。そうした現状、企業ニーズを感じ、アンケートアプリの開発に着手しました。

――そうして誕生した「Powl」が若年層のユーザーに支持された理由について教えてください。

まずはUI。チャットボットとの会話形式にし、ユーザーは画面をタップするだけで、楽しみながらかつ簡単にアンケートに回答できるようにしました。

Powlのアンケート画面のイメージ

特に重要なのが“気軽”であることです。現代人は「1日に80回スマホを見ている」といわれています。現在、電車の移動時間やちょっとした隙間時間など、何気なく私たちはスマホを眺め、少しの時間さえも有効活用しています。

その「隙間時間にできるアプリ」であることを目指しました。ですから短いものですと1問、長いものでも1分程度でアンケートを終えられるように設計しています。またボットとの会話形式にすることで、ユーザーの体感時間が短くなることも意識している点です。

さらに「Powl」では、アンケートに答えたインセンティブとして、若年層に人気のスターバックスやミスタードーナツなどの飲食店、音楽系のギフトカードなどを用意することで、ユーザーの定着を図っています。

しかし一方で、「若年層はお金では動かない」といわれている時代です。それはつまり、価値観が変わってきているということです。たとえばお金よりもSNSを通じた“人とのつながり”の方が大事なユーザーもいます。彼らは左脳で計算するのでなく、もっと感覚的に右脳で動くんです。だから「インセンティブ以上に、シンプルかつ楽しくて簡単」であることが、非常に大切な要素であると考えています。

――打算で動かないからこそ、アプリの「使いやすさ」がより重要になってきているのですね。

はい。スマホを触るといっても、していることはさまざまですよね。ネット検索しているかもしれませんし、SNSに投稿しているかもしれませんし、「LINE」で友人と会話している可能性もあります。つまり現在、スマホユーザーの時間の使い方というのは細分化しているんです。

その中で、自然とユーザーは「時短」を求めるようになりました。LINEスタンプもそのひとつの形だと思います。そのトレンドを抑える上でも、やはり「短い」ということは非常に重要だと考えています。

ティーンに人気の「TikTok」も「短時間で見られる」ものですし、この潮流はしばらく続くのではないでしょうか。


ユーザーファーストであることが何より大切な時代

――「Powl」では企業の依頼を受けて、ユーザーにアンケートを実施するだけでなく、広告も配信しています。また、最近はユーザー参加型のコンテンツも発表していますが、その背景を教えてください。

現在、「Powl」のユーザーは約170万人います。ユーザーが増えるなか、「もっとユーザーと密にコミュニケーションを取りたい」という企業のニーズが出てきたことで、アンケート形式の広告配信(アンケートに回答すると、最終的にサービス紹介に辿りつくもの)などをスタートしました。

今回、新たに始めたユーザー参加型の「WeeQuiz(ウィークイズ)」は、さらに一歩踏み込んで、“点”で情報を届けるのでなく、“線”で情報を届けること、また「そのあと」までフォローできるのが特徴です。

具体的には、「Powl」を通じて、7日間連続でクイズ形式のアンケートを実施し、ユーザーの獲得から定着までを実現します。つまり"線"でユーザーにアプローチすることができるわけです。

WeeQuizはユーザーに「線」でアプローチすることで、広告主とユーザーのエンゲージメントを高める

また、あるゲームアプリをダウンロードしたユーザーがいるとします。そのユーザーがその後、そのゲームをしているのかどうかについて、これまで知る方法はありませんでした。しかし「WeeQuiz」であれば、「Powl」内でダウンロードしたユーザーに対して聞くことができます。つまり、アプリ内で、広告配信から態度変容調査(ブランドリフト)まで完結できる。またユーザー目線という点では、”消費”ではなく、“体験”を意識した広告になっています。

――やはり、ユーザーファーストを意識したコミュニケーションが一番重要ですよね。

はい。アメリカには「Zappos.com」という「カスタマーサポートで靴を売っている」といわれる企業が存在しています。同社はそれほどに“ユーザー思い”だから、多くのユーザーから支持を集めているわけです。

また若年層に人気の「TikTok」も、ユーザーファーストであることが人気の追い風になっていると私は考えています。「TikTok」はランダムで投稿動画が表示されますが、その表示というのは、再生回数が低いユーザーほど多くなるんです。つまり、どんなユーザーがどんな動画を投稿しても「再生回数0」ということは、基本ないわけです。結果、エントリーユーザーでも、すぐに「誰かに見てもらっている」という承認欲求を満たすことができ、継続的に利用するわけです。

そうした背景を理解し、「Powl」でもユーザーファーストが絶対条件であると考えていますし、ユーザーファーストでなければ、受け入れてもらえない時代になっているとさえ感じています。

――最後に。若年層にアプローチする上でのポイントを教えてください。

アドテクが進展し、購買履歴や訪問履歴はデータとして取得できるようになりましたが、それ以上の情報を得るのは難しい段階にあります。それを打開するには、アンケートは非常に有効な施策だと言えます。なぜなら、「知りたいことが知れる」からです。

前述したことのまとめになりますが、現在のアプリのトレンドは、「TikTok」に代表されるように、「直感的に使えて、気軽で楽しくて短い。そしてユーザーファースト」な設計になっています。さらにもうひとつそこに加えるなら「自動再生」というキーワードもあるでしょう。自動再生が若年層に作用するのは、何かをしながらスマホを触っているケースが多いからです。勝手に再生されれば、違うことをしていても、気になるものは再度チェックしてもらえるわけです。

感覚的にはテレビの「ながら視聴」に近いものがあります。それほどに若年層にとってスマホは身近な存在なんです。そうした彼らの特徴や思考を押さえた上でサービスや商品開発をスタートすると、ユーザーニーズとズレの少ないものが生まれるのではないでしょうか。

株式会社テスティー 代表取締役 横江優希さん
現在、若年層の情報源や隙間時間の消費は、テレビからスマートフォンへと移り変わっています。そうした時代背景も理解しつつ、それぞれの世代ごとのインサイトを意識したコミュニケーションが大切です。とりわけスマホ時間が細分化しているZ世代には、隙間時間を意識したUI設計などのユーザーファーストで、彼らに寄り添ったサービス・商品であることが、まずは「若年層に刺さるアイデア」の第一歩と言えそうです。
Written by: BAE編集部

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