2017-12-27

いま注目の「マンホールカード」。人が回遊する仕組みとは?

下水道のPRからスタートしたプロジェクトが地方活性化に寄与
普段、何気なく見過ごしているマンホールが、実は海外から訪れた人々の間で話題になっていることをご存知でしょうか?

SNS上では以前から、「日本のマンホールは面白い」というコメントが、写真とともに多くアップされています。それもそのはず。日本のマンホールは直径約60センチの統一規格の中に、都市ごとに違う日本的で繊細なデザインが施された、日本が世界に誇る文化物なのですから。

そこに注目したのが、下水道の広報団体・下水道広報プラットホーム(GKP)です。国土交通省の呼びかけにより、官民連携で集まった同団体は、下水道のイメージアップのために、2016年より「マンホールカード」の配布を各自治体と協力してスタート。現在293種類、140万枚を発行している同カードは、大きな人気を博し、地方創生にも寄与しています。またその人気を証明するように、同団体が主催する「マンホールサミット」は、2017年2回開催され、どちらも3000人以上の来場者がありました。

本プロジェクトのリーダーである山田秀人さんは、「思わず集めたくなるように設計したつもりでしたが、予想以上の反響に驚いています」と語ります。いま多くの人の心を掴んでいる「マンホールカード」、その“仕掛け”について山田さんに聞きました。


目指したのは、「集めて楽しい」

下水道広報プラットホーム マンホールカードプロジェクト リーダー・山田秀人さん

――マンホールカードの表面は「各都市に実在するマンホール」です。どれも繊細なデザインですが、どこか独特な印象です。何か理由があるのでしょうか?

マンホールでいちばん大切な安全性を重視して、マンホールメーカーがその多くをデザインしているからです。そのため、本来なら必要ないはずの星マークなどが滑り止めとして入っているわけです。結果、直径約60センチの中にデザイン性が凝縮され、カード化してみたところ、それが見事に映えました。

――下水道のPRとしてスタートし、人気を博している「マンホールカード」。当初から地方創生も意識していたのでしょうか?

していなかったわけではありませんが、あくまで下水道のPRとして最適な手法を選択した結果、「地方創生にも寄与できた」というのが正直な感想です。

「マンホールカード」は手に取るとわかるのですが、販売されていてもおかしくないほど高クオリティなんです。どの都市でカードを入手しても、デザインや紙質に乱れがないよう、徹底的に管理しています。
そうしたこだわりによって、「一般の人がほしいと思えるモノ」になりました。地方創生(観光)に寄与できた理由としては、当初から「集めること」、「集めて楽しい」にこだわったからだと思います。

――コレクション(収集)してもらうために、どんな工夫をされましたか?

連番(ナンバー)を入れることです。カードには、いくつか数字が入っているのですが、それぞれが意味を持ち、「自分が集めたいように、自分のペースで好きにコレクションして楽しめる」設計を心掛けました。

カードの表面はマンホールの写真、裏面はデザインの由来が記載

右下にある小さな数字は、左から全カード連番、(全国を9つにわけた)ブロック連番、県内での連番、市内での連番を示しています。表面のピクトグラムは「世界遺産」などのカテゴリーをアイコン化したもので、これも連番になっています。

なかでも特に観光に寄与したのが、表面にあるGPS情報(緯度経度)です。


マンホールカードが持つ回遊性が観光に寄与


――位置座標を記載したことで、「マンホールカード」の正確な位置を知ることはできますが、具体的にどんな効果を生んだのでしょうか?

1箇所につき1種類だけ配布している「マンホールカード」は、配布場所が役所や下水処理場になっているため、マンホールがある場所とは離れているんです。しかしマンホールカードを入手した人々は、すぐにスマホに緯度経度を入力し、実際のマンホールへ向かう、という現象が起きました。

そこで写真を撮り、SNSにアップして楽しむ、というのが最近の定番です。カードには訪れた地方名の記載もありますし、マンホールという物珍しさもあって、SNSにアップしたくなる要素が詰まっているのかもしれません。そしてアップしたあとは自然に、「せっかくだからご飯でも、もしくは観光でも」となりますよね。

つまり、マンホールカードが観光に寄与できているのは、いまの時代だからなんです。これがもしデジタルカードだったら、マンホールと一緒に写真は撮れません。アナログのカードであり、かつSNS利用が一般化しているからこそ、マンホールカードが地方創生に役立てたのでしょう。

ちなみに現在、マンホールカードをもらいに配布施設を訪れる方の約6割は県外在住の方です。「マンホールカードを入手する」という理由を掲げ、ご夫婦でその都市を訪れる方もいます。当初から、マンホールカードはご当地パンフレットの位置付けでしたから、観光への寄与も多少は意識していましたが、まさかここまで人を動かせるモノになるとは思っていませんでした。


継続することがPRにつながる


――コレクションカードである以上、“継続”も重要な要素ですよね。


はい。収集し続けてもらうことが下水道のPRにもつながりますから、配布を継続して定番化することは重視しています。今後も地道に活動を続け、世の中にマンホールカードがあることを、多くの人に知ってもらいたいですね。

その延長として、各都市の下水道にも興味を持ってもらえたらと思います。レアカードや期間限定カードがないのも理由があります。優劣は作らず、あくまでその都市に行った記念品でありたいからです。

――マンホールイベント「マンホールサミット」の規模も年々拡大しています。今後の展開については、どうお考えでしょうか?

現在「マンホールサミット」に参加している方は、女性が目立ち、中には20代、30代の方もいます。最近では、マンホールおよびマンホールカード好きの人を「マンホーラー」と呼ぶことも広がり始め、一種の“マンホールブーム”が起きている印象があります。

同サミットでは、「マンホーラーバッヂ」を配布しているのですが、これも好評です。地域ブロックごとに色分けにしてあるので、どのブロックの「マンホーラー」か一目瞭然です。

今後は「マンホールカード」をITと結びつけるなどすることで、新たなマンホールの楽しみ方を提供できるのではないかと思っています。今後の展開にもご期待いただけたらと思います。


アナログに、デジタルの仕掛けを組み込んだ妙

アナログのカードに位置座標を埋め込むことで、見事に人を動かした「マンホールカード」。アナログを主体としながら、デジタルを活用するプロモーションの参考として、さまざまな形で応用できるのではないでしょうか。
山田秀人(やまだ・ひでと)
下水道広報プラットホーム マンホールカードプロジェクト リーダー
マンホールの製造販売メーカーに所属しながら、マンホール業界を盛り上げるために、“日本のマンホール広報”に注力。現在はマンホールサミット、マンホールカードのプロジェクトリーダーとして活躍中。
Written by: BAE編集部

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