2024-12-04

クライアントとワンチームで、ブランドと未来をデザインする

パッケージからEC・店頭展開まで総合的にサポート
2018年に登場した、Sparty(スパーティー)のパーソナライズヘアケアブランド「MEDULLA(メデュラ)」。2024年春に、発売から3度目のリブランディングを実施しました。

このプロジェクトをサポートしたのが、電通プロモーションプラス(以下、電通PMP)のアートディレクションチームです。パッケージの刷新からスタートし、ブランド全体のコンサルティング、EC上の購入体験やブランドの情報発信サイトの見直しといったコミュニケーション設計、新規アイテムのパッケージデザインまでを共創し、好評価を得ています。並行して、Sparty と電通 PMP のリテール部門との、大手量販店等での店頭展開や販促、PR に関する相談なども進められました。

リブランディングの経緯や成果の理由を、Sparty 代表取締役の深山さん、同社のクリエイティブディレクター(CD)の岡崎さんと、電通PMP プランニング・CR1部 アートディレクター(AD)の石原、片岡に聞きます。


ブランドの未来やユーザーとの接点も共にデザインする

――リブランディングにはどのような狙いがあったのでしょうか。

深山――2024年の春で、MEDULLAは6周年を迎えました。ブランドの成長と共に、例えば、発売当初20代だった方が30代になっているなど、ユーザー層も変化しています。今のお客様により親しみを感じてほしいし、これからのお客様にもアピールする方向へとアップデートしていきたいと思い、まずユーザーとブランドの最初の接点であるパッケージデザインの刷新を決めました。

――パートナーとして電通PMPに白羽の矢が立った理由や、プロジェクトがスタートした経緯などを教えてください。

岡崎――過去にお仕事をお願いした方を含め、非常にたくさんのデザイナー・プロダクションの事例を集めて検討しました。その中で、石原さんのこれまでのお仕事を知り、直感的にMEDULLAの世界観にマッチすると感じて、指名という形でお仕事をお願いしました。石原さんの経歴に、ブランディングはもちろん、パッケージデザインの実績が多いことも決め手になりました。

深山――石原さんにお会いして、初めに「このプロジェクトはワンチームで取り組みたい」という希望を率直にお話ししました。ブランドとしての世界観や方向性にも関わってほしいという気持ちがあったからです。

石原――深山さん、岡崎さんから、今までのMEDULLAやユーザーについて詳しくお聞きして、ユーザー像は自分の中にもあると感じましたし、年齢に伴う髪の悩みなど、共感できる部分もたくさんありました。深山さんから「一緒のチームとしてやりたい」と言っていただき、最初からデザイン案をいくつかに絞ってお持ちするのではなく、こちらのアイデアを素案からお見せする形でスタートしました。

(写真左から)電通PMP 片岡氏、石原氏、Sparty 深山氏、岡崎氏


――具体的には、どのようにプロジェクトを進められていきましたか。

石原――まず、私と片岡さんでとにかくたくさんのデザインをつくり、検討材料としてほぼ全てをお見せしました。50案くらいはあったと思います。今回はCDを、電通PMP側ではなく岡崎さんが担当されたこともあって、一緒にブランドの哲学や在り方を考えながら、素案を基に方向性を検討していった形です。片岡さんと私のカラーが違うので、パターンも豊富に出すことができました。

片岡――MEDULLAのターゲットやユーザー像が自分に近いこともあって、自分たちが良いと思うもの、使いたいと思うデザインを、時間の許す限り、楽しみながらどんどんつくる――という感じでデザインを進めました。ミーティングも頻繁にあって、毎回とにかく大量のデザインをお見せしましたね。

石原――深山さんの「パーソナライズ感を高めるために、ユーザーごとにネームを必ず入れたい」という希望があり、ユーザーネームは必ず入る仕様になりました。さまざまなコンセプトのラフ案をお見せしたことで、「今後は、イラストレーターとのコラボデザインや、季節限定のデザインボトルも出そう」とか「シールを貼ってカスタマイズするタイプもつくれるかも」といった意見も出てきました。たくさん意見を出したことで、次の展開にも繋がっていきました。時にはターゲット層に近いSpartyのスタッフの方々にミーティングに加わってもらったり、ロイヤルカスタマーにもインタビューしたりして意見を伺いました。

検討の基となったデザインベースの一部
 

片岡――「どうすればMEDULLAらしいデザインを実現できるか?」を一番に考え、議論をする中で、ブランドの在り方についてもかなり理解を深めることができました。それを基に、デザインだけでなく容器などに関する検討にも加わりました。

岡崎――通常、こういったケースではパッケージの形状をこちらで決めて、表面のデザインだけお願いするパターンが多いと思うのですが、今回は容器の形状や素材、印刷をどうするかといったところから相談させてもらいました。途中、印刷加工の現場にまで足を運んでいただきましたね。

ユーザーごとにネームをプリントすることで、パーソナライズアイテムとしての価値が向上。ブランドのこだわりである、液色の美しさが際立つ


深山――「大御所のデザイナーにパッケージだけをお願いして、出てきたものを受け取る」といったやり方もあったとは思います。でも、今回はそういったやり方ではなく、本当にワンチームで、素材選びや時にはそれに関わる予算なども含めて率直に相談させてもらいました。おかげで、我々の狙いやブランドへの理解をさらに深めていただけたと思います。

石原――基本セットのデザインがほぼ決まった段階で、配送時のボックスや、ユーザーごとのレシピの詳細を書いたカードのデザイン、キービジュアルの撮影などを進めました。またメインのデザインを踏襲する形での、購入時の診断サイトの刷新や、情報発信サイト「CLUB MEDULLA」の立ち上げの際のディレクションにも加わりました。

情報発信サイト「CLUB MEDULLA」。オンライン診断やカウンセリングサービスも充実。美容×パーソナライズを軸に、ユーザーと直接コミュニケーションをはかる
 

 
岡崎――並行して、新アイテムの「ハイパーリンクセラム」の発売が決定して、こちらのパッケージデザインも石原さんにお願いしました。このアイテムのリテール展開のほうも電通PMPさんに相談し、大手量販店やドラッグストアでの販売をスタートさせています。パッケージのビジュアルをSNSで活用しています。
 

洗い流さないトリートメント「ハイパーリンクセラム」。新たなブランドイメージに、より高級感がプラスされたデザイン
 

ワンチームでの取り組みで切り拓いた“次なる一手”

――リニューアル後のデザインが好評を得て、新規獲得率が以前の5倍になり、継続率が向上するなどの成果が出ています。どのようなコミュニケーションが、このプロジェクトの成功に繋がったのでしょうか。

深山――やはり、“クライアントサイドとアートディレクションサイド”という立場や垣根を越えて取り組めたことは、カギになったと思います。2018年の発売当初は新しかったパーソナライズという概念もある程度世の中に浸透してきた中で、今後MEDULLAをどう成長させていくかを暗中模索しながらも、一緒に近しい距離で、柔軟な姿勢で取り組んでいただけたのがありがたかったと改めて実感しています。
  

パッケージのリブランディングというクリエーティブを起点に、プロジェクトはECや店頭販促など、マーケティングに関する相談へも広がった
 

石原――デザインコンセプトの提案もさせていただくなど、リブランディングの核の部分を任せていただけたと思っています。コミュニケーションの面では、決定権・裁量権を持つ深山さんが、多くをその場で判断してくださったことも大きかったと思います。理念やポリシーをもって決めてくださるので、例えば「真逆のデザイン案を混ぜたい」といった、応えるのが難しいリクエストもなく、どの段階もスムーズに進みました。

岡崎――成果について言えば、新規獲得率の向上などに加えて、安売りせずとも売れるようになったことや、業界内でも広告の評判などが聞こえるようになったことも大きかったですね。D2Cのヘアケアアイテムが非常に多い中で、著名なインフルエンサーとのタイアップなども実現できました。現在も石原さん、片岡さんと季節限定のパッケージを作成したり、電通PMPのリテール部門の方々と、Spartyのその他のブランドのリブランディングや、リテールでの販売拡張などについてご相談をしたりしています。
 

花火で彩られた2024年夏秋の季節限定デザインボトル。花火のイラストは片岡氏が作成。今後もアーティストや他社コンテンツとのコラボパッケージのリリースを予定している
 

片岡――メインのパッケージデザインが、「日本パッケージデザイン大賞2025」に入選できたことについても喜んでいただけたので、私たちも嬉しく思っています。

理解力の高さと豊富なアウトプットで効果を最大化

――プロジェクト全体を振り返っての感想や目標などをお聞かせください。

深山
――変化の速いこの時代、我々のようなブランドにとって必要なのは、高い理解力をもってどんどん手を動かしてくれることで、成長・拡張の余白のある土台を共につくっていけるパートナーです。電通PMPさんとは、今後も新しいチャレンジをしていけると実感しています。

石原――理解力やバリエーションの多さ、スピード感は、私たちの自負するところです。クライアントへの理解と自らのポリシーを掛け合わせて実行力に変えられるというのが、電通PMPのアートディレクターの共通点だと思っています。単にパッケージをデザインするというだけではなく、あらゆる顧客との接点の見直しや再構築といったところまで、デザインをしていけることも強みです。「クリエーティブ目線とマーケティング目線の両方がある」とも表現できるかもしれません。
ノンバーバル(非言語的)な部分も含めて、クライアントの想いを汲み取れる。そして、アウトプットを起点に、一緒に実現可能性について探ったり、新たな気付きを増やしたりといった形で、テーマを掘り下げていくのが得意なアートディレクターが多いですね。今回も、まず多くのデザイン案を基に全員で話し合うことで、無駄な工程やリソースを割かずに、デザインの拡張と深化に集中できたと考えています。

2024年9月発表の公益社団法人日本パッケージデザイン協会主催「日本パッケージデザイン大賞2025」ボディ&ヘルスケア部門入選
 

石原――どこか一部分ではなく、部署同士の横連携を通じて、ブランドづくりから体験設計、SNSコミュニケーション、リテール開拓、店頭でのプロモーションと、シームレスに全体に関わりあらゆる顧客接点をデザインできることが電通PMPならではの強みです。今後もSpartyさんの成長と拡大に並走し、貢献できるように力を尽くしていきます。


深山 陽介
Sparty 代表取締役/CEO

1988年千葉県生まれ。慶應義塾大学理工学部卒業後、博報堂に新卒入社。大手通信会社の営業職を経て、数多くのクライアントのデジタルマーケティング戦略策定に従事。2017年5月に退職し、株式会社Spartyを創業。
岡崎 翼
Sparty クリエイティブディレクター

2014年に博報堂に入社。エアラインやテーマパークの営業担当を経てクリエイティブ職へ。マス広告からデジタル・エクスペリンス領域などを横断する統合プランニングに従事した後、2022年に株式会社Sparty(現職)へと転職。主に新商品開発やコミュニケーション開発におけるクリエイティブディレクション業務を担当。
石原 絵梨
電通プロモーションプラス アートディレクター

2011年に電通テック(現・株式会社電通プロモーションプラス)に入社。
グラフィックデザインを軸にしたコミュニケーションプランニングで、媒体問わず様々なものをデザインしている。広告だけでなくパッケージデザインも多く担当し、近年ブランディングやリブランディング案件も複数担当。和菓子好きが高じて「もちばけ」というガチャのキャラクターを開発し、2021年に岩崎書店より絵本『もちばけ おもちだけど、おばけです。』を出版。
片岡 美亜
電通プロモーションプラス アートディレクター

1998年生まれ東京都出身。2020年に電通テック(現・株式会社電通プロモーションプラス)に入社。
アートディレクター/デザイナーとしてグラフィックからロゴ開発、イベント、プロダクトなど手段を問わずに幅広い分野で活動中。近年はコスメ等の美容系商材を多く担当している。
Written by: BAE編集部

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