2022-11-17

リアル店舗の楽しさとコミュニケーションをEC上で再現する「次世代型共同購入」

購買意欲の可視化やC2Mにも繋がる 「シェア買い」
事業者が出品した商品に、複数の購入希望者が集まることでショッピングが成立する「共同購入」。昔からある仕組みですが、近年はアプリやSNSを活用したアップデートが進み、通称 「シェア買い」として人気が高まっています。

「お得な買い物情報」を起点に、商品の魅力がユーザー間で自発的に拡散されること、購買意欲を持つ人や見込み客の数が可視化できることなど、マーケティングにさまざまなメリットをもたらす シェア買い。今後、オンラインのショッピング体験をどのように変えていくのでしょうか。

2020年9月にリリースされ、2022年9月までに約100万DLを突破した、シェア買い通販プラットフォームを運用する、カウシェの門奈さんにお話を伺います。


時間的なコストよりも「ちょっとした節約」を優先する層に刺さる

——共同購入の仕組み自体は昔からあるもので、以前にも日用品のまとめ買いや割引クーポンの購入が可能なサイトなどがありましたが、近年どのように進化しているのでしょうか。

ここ数年、アプリやデバイス、オンライン決済、SNS等の活用といったテクノロジーが組み合わされることで次世代化が一段と進み、共同購入はECの一領域として成熟してきました。

以前なら、情報や決済を他人とシェアしようとすると大変な手間がかかりましたが、スマホが普及した今では数クリックで情報をSNSグループなどに飛ばして「これみんなで一緒に買わない?」と誘うことができます。最近では「共同購入」ではなく「シェア買い」と呼ばれて、主婦層などを中心に人気が高まっています。

次世代型のシェア買いの火付け役になったのは、中国の「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」という通販プラットフォームです。
2015年の創業後に共同購入の仕組みを導入して急成長し、3年で米国のナスダックに上場。年間アクティブユーザー数は7億5,000万人以上(※)、中国EC最大手のアリババを超える勢いを見せています。私たち「カウシェ」も、拼多多に着想を得てスタートしました。
※ 2022年 第1四半期決算による

「カウシェ」は2020年9月にリリースされ、累計100万DLを突破(2022年9月時点)。全国的にユーザーが増加している。2人以上の購入希望者が集まることでシェア買いが成立する

シェア買いを実現するために口コミでユーザーが増加するので、広告費等の大幅な削減が可能。削減したコストを、割引としてユーザーに還元できる。シェア買いを入り口とした新規顧客の開拓も可能

——シェア買いを利用しているユーザーの属性や傾向などを教えてください。

カウシェのユーザーの7割程度が女性で、特にお買い得情報に敏感な地方在住の主婦層の方々が多いです。複数人で購入すると、商品が少しお得になる。そのために、SNS上で話題にしたり、友人を誘ったりと、シェア買いに前向きに参加してくれます。

都会のビジネスパーソンなどの多くは、金銭的なコストよりも時間や手間といったコストのほうを重視するかもしれません。しかし、主婦の中には働けない事情を持つ人もいますし、安売りのためにはちょっと遠くのスーパーまで足を延ばすといったように、ちょっとした空き時間に手間をかけることで、金銭的なコストをカットすることを優先する人も多いのです。

お得な買い物を達成できたことに対する満足感も高く、そこに自己肯定感や楽しさを見出す人も多いようで、“ポイ活(ポイントをうまく貯めたり利用したりして、積極的に節約すること)” に熱心な層とも親和性があります。


“グループで大型の安売り店に行く” 体験をオンライン上に再現

——シェア買いの事業者側と生活者側のメリットを教えてください。

どちらも、シェア買いならではの、「1人では買えない」という体験がカギになっています。

シェア買いでは、「この商品、良さそうだから一緒に買わない?」といった口コミを通じて、アイテムの情報にユーザーの評価や意見が付加価値としてプラスされ、その先のネットワークへと自発的に広がっていきます。好感度の高いコメントつきで、SNS上への露出が自動で増えていくわけです。

「すでに購買意欲が高い人が、もう1人、2人と購買意欲の高い人を連れてくる」ことも、事業者にとって大きなメリットになります。販路の拡大や新規顧客の獲得はもちろん、どれを何人が購入したがっているかがわかりますので、購買へのモチベーションがアイテムごとに可視化できることもポイントです。

ECやSNSアカウントを運用しておらず、ITに慣れ親しんでいない事業者でも参入しやすいこともポイント。2021年7月からは自治体との連携もスタート。同様の取り組みを今後も増やすという

割安感はユーザーにとっての普遍的なメリットですし、購入の相談のために家族や友人とSNSでコミュニケーションをとったり、タイムライン上で誰かと意見を交わしながら商品を吟味したりすることも、新しく楽しい買い物体験になります。

そのため、私たちはオンライン上でも、リアルな買い物の楽しみを再現することを重視しています

通常のECでは体験しにくい「人と一緒に買い物をする楽しさ」を生む。購買に意欲的なユーザーからユーザーへと情報が拡散されれば、必然的に販売機会も増える

——「オンライン上でリアルな買い物の楽しみを再現する」ということは、通常のECとどう違うのでしょうか。もう少し詳しく教えてください

私たちが持っているのは、「ドン・キホーテやコストコなどの売り場での体験を、アプリ上で再現する」イメージです。

例えば、生活用品を扱うECの多くは検索性を重視したつくりで、ユーザーは「ミネラルウォーター」とか「シャンプー」といった品目や、銘柄、商品名などから検索して購入します。オフラインで言うと、「●●を買うためにスーパーに行く」という感じです。

ただ、実際には「●●を買いに来たけど、見たら他のものも欲しくなった」「レジ前にお得なものがあって、つい買った」とか、「安いけど分量が多かったので、友だちと買って分けた」など、リアル店舗には “ならでは” のシチュエーションが沢山ありますよね。

私たちはソーシャルコマースとして、そういった“出逢い”や“コミュニケーション”の部分を大事にしています。
実際に、特に目的がなくても、毎日のようにアプリを開いて売り場のお得情報をチェックするユーザーも多いですし、口コミの多くはInstagramやLINEなどで共有されていますが、カウシェ上に独自のタイムラインを設けて、「このアイテムを誰か一緒に買いませんか?」と気軽に他のユーザーを誘える仕組みも導入しています。

その他にも、イベントを開催して“売り場”を盛り上げるキャンペーンや、大人数が集まることで、企業側は利益が大きくなり、ユーザー側はよりお得になる「大人数シェア買い機能」などの施策も展開しています。

「牛1頭まるごとシェア買い」といった話題性のあるキャンペーンや、大人数が集まらないと購入が成立しない「大人数シェア買い機能」等で、プラットフォーム上の“売り場”を盛り上げる

——ちなみに、カウシェ上で人気のアイテムに共通点などはあるでしょうか。

日用品や家電など、幅広く購入されていますが、「知ってはいるけど、まだ買ったことはない」「前から気になっていたけど、買うきっかけがなかった」といったアイテムは、お得感がトリガーになって購入希望者が集まりやすいようです。

——シェア買いを通じて人を集める仕組みは、商品開発など、販売以外にも応用が可能でしょうか。

フードロスの大幅な削減に貢献した事例があります。
ふわふわの「くりーむパン」が人気の「八天堂」の商品ですが、生菓子に近く足が早いという性質上、どうしてもロスが発生していました。しかし、賞味期限が近くなった商品を値下げしてシェア買いを募ったところ、大量の購入希望者が集まり、廃棄数をゼロにすることに成功したのです。
今後は、生鮮食品の売り切りなどにも取り組み、SDGsに貢献できる買い物の方法として、定着させていきたいと考えています。

シェア買いには“小さなクラウドファンディング”のような性質がありますから、商品開発、受注生産など、C2M(Consumer to Manufacturer)にも役立つものと考えています。テストマーケティングなどへの応用も可能です。
「人が人を集めること」を通じて製造の形を変え、サステナビリティに繋がるショッピングを提案していくことも、私たちの目標の一つです。


特定のユーザーグループやコミュニティへのアプローチが可能に

——カウシェの運営を継続する中で、何か意外な反応などはあったでしょうか。

2022年1月頃から、ベトナム語を利用するユーザーが増加するという出来事がありました。ベトナム語での活発なやり取りが増えていることに気が付いたときには、私たちも驚きました。
何かのきっかけで、ベトナム語話者のコミュニティがカウシェを見つけてくださったのだと思いますが、これは口コミによってユーザーが指数関数的に増加するシェア買いならではの現象と言えるでしょう。
その後、ベトナム語話者の利用者は2022年9月の時点で約8.5万人に上りました。これは、国内の在留ベトナム人の方々の約20%にあたります。

ベトナム語による書き込みが急増し、コミュニティが顕在化。ベトナム人ユーザーからは果物、ミックスナッツ等が人気だという。FAQのベトナム語版をリリースするなどの対応をとっている

話はやや抽象的になりますが、このようにグループやコミュニティの形が見えてくることも、シェア買いの可能性の一つだと考えています。
「ユーザーのAさんとBさんはよく一緒に購入している」「Aさん、Bさん、Cさんが繋がっている」といったデータは、一般的なECからは見えてこないからです。

そういったデータに着目して、コミュニティ単位へのプロモーションやマーケティングを行ったり、グループのリーダー的な方へのインセンティブを設定することで販促に協力していただくなど、シェア買いを軸とした「コミュニティ型のサービス」をつくることも、将来的には可能だと考えています。

商品の配送先などもグループごとにまとめることができれば、さらなる値引きや、配送資源の節約なども実現できそうです。

——今後の課題と展望を教えてください。

まずは、取り扱い商品のジャンル・点数を増やし、総合EC化を進めることが優先課題であり目標です。
月間1千万円以上売り上げる事業者も増えていますし、ユーザーも引き続き指数関数的に増加していますので、さらに多彩なアイテムを揃えて、より幅広い層のユーザーにアクセスしていただく機会を増やしていきます。

今後も、「物を買う」という目的だけにとどまらない、楽しいショッピングを追求できる場所として、デジタル上での買い物体験のアップデートを目指していきます。
株式会社カウシェ  代表取締役CEO 門奈剣平(もんな・けんぺい)さん
広告費の削減といった直接的なメリットだけではなく、SNS上で拡散されやすく、新規顧客への結びつきに繋がるなど、シェア買いには通常のECでは実現しにくいメリットが期待できるようです。消費期限の近い生鮮食品の割引など、SDGsへの貢献についても可能性が広がりそうです。
さらに、「ユーザー同士がどのような関連性や繋がりを持っているか」といった、通常のECの仕組みからは見ることのできないデータの蓄積にも、今までにない活用法や可能性が期待できるでしょう。
国内でも、中国のように大きな潮流となるのか、今後の成長が注目されています。

Written by: BAE編集部

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