2017-11-24

人々が「エシカル」を選択する理由

”誰かのためになる”という実感が「エシカル消費」を支える
環境への配慮や社会貢献を伴った「エシカル」な消費行動が若い世代を中心に広がってきています。その理由は何なのか、早くから「エシカル」に着目し、番組内でコーナー展開しているFm yokohama「E-ne! ~good for you~」のラジオDJ MITSUMIさんにお話を伺いました。


誰かの笑顔につながるものを

「エシカル(ethical)」とは「倫理的、道徳上の」という意味。例えば、同じ値段の商品でも、“労働者に優しい環境で製造された商品”と“そうでない商品”の2つがあればどちらを選択するでしょうか。あるいは、同じ値段の商品でも、一方が被災地への支援になるモノであれば、どちらを買うでしょうか。このようにモノを買ったり、サービスを利用する時に、倫理的な選択をすることを「エシカル消費」といいます。フェアトレードもその一つとなります。

『E-ne! ~good for you~』公式ブログ


最近は、私たちが日々使う商品やサービスに、環境や社会に配慮されたものが増えてきました。こうした商品や活動を紹介しているのがFm yokohamaのラジオ番組『E-ne! ~good for you~』内の『エシコン』(エシカル・コンシューマーからの造語)というコーナーです。2009年10月の放送開始以来「身近な人たちが環境について感じられるアイテムや活動を伝えたい」という思いで、このコーナーをナビゲートしています。

「E-ne! ~good for you~」のDJを務めるMITSUMIさん

「エシコン」では、ただアイテムを紹介するのではなく、地域が抱えている課題を共有した後で、商品やサービスを通じてその課題解決の手助けになることを伝えるようにしたとのこと。そうしたことで次第に反響を呼ぶようになったといいます。

「例えば、東日本大震災の復興のために立ち上がったイギリスと気仙沼のNPOが取り組む『ベビーモスリン』のプロジェクト。この活動について番組で紹介したところ、放送後に横浜エリアでの売り上げが伸び、そのことがベビーモスリンを製造する気仙沼のお母さんたちにも伝わって喜びの声が上がったというエピソードは、まさに象徴的な出来事といえます。」

番組で取り上げた「ベビーモスリン」は、イギリスで伝統的に使われている乳幼児用の布。東日本大震災に際しロンドン在住の日本人ママたちが立ち上がり、2011年より被災地に物資として送り続けています

コーナーで紹介するアイテムや活動は、番組ディレクターとMITSUMIさんとの何気ない会話の中から見つかることも多いようですが、その際、「モノ自体の品質の良さ」は欠かせないポイントだといいます。また、その商品を購入することで誰かの生活が豊かになったり、笑顔が生まれたりすることも大切なポイントとのこと。

「アウトドアブランドの『パタゴニア』のデニムは、オーガニックコットンを使用し栽培地の水や空気汚染に配慮するだけでなく、染色工程において、水やエネルギー、化学薬品の使用量などを大幅にカットし、環境への負荷を低減しています。実はデニム、あの深いブルーを出すために染色と洗いを何度も繰り返していて、それが大量の水やエネルギーといった資源を過剰に使用していたという現実があるんですね。
こういった取り組みに共感できる商品や、買って終わりではなく買うからには誰かの笑顔につながるものを大事に選んでいます。」


一方通行では共感は生まれない

では、なぜ、人々は自分たちが使う「モノ」のストーリーや背景に共感できる商品を選びたくなるのでしょうか。MITSUMIさんによると、その一つは現代における「選択肢の多さ」にあるのではないかといいます。

製造工程に関わる人や環境に配慮した「パタゴニア」のデニム

「商品の選択肢が非常に多くありますし、感じ方も十人十色。良し悪しだけで語っても人々の“共感”は得られないと思います。ですが、誰だって環境汚染されていくことを望みませんし、これからのことを考えれば、身体や自然に優しいものを選びたいと思うかなと。自分のことを自分で選択できる年齢になれば、同じ値段であれば環境に良い方を選ぶこともできますし、購入したその先に誰かの笑顔や生活につながるようなものがあれば、それを選んでいきたいと思うのではないでしょうか。無理するわけではなく、生活の中でちょっと選択を変えるだけでできることを紹介してきましたが、反響が広がっているのを日々実感しています。」

また、いくら環境に良い製品であるからといって、一方的にその価値を押し付けるのは逆効果になりがちで、双方向のコミュニケーションとそこから生まれる“共鳴”こそが重要だとMITSUMIさんは語ります。


「『エコ』や『エシカル』って、実はけっこうハードルが高い言葉ですよね(笑)。『環境にいいことをしよう』『エシカルを意識しよう』という呼びかけは、実は逆効果。一方的に押し付けるだけでは、みんな構えてしまいます。番組でも、ゲストの思いに接して、“共鳴”する部分があって、はじめてエシカルな行動につながるのだと思っています。私が良いと思ったものを背景のストーリーを含めてリスナーに紹介することで、想いに賛同した人が購入して当事者になる。さらに作り手の人たちからも感謝の声が集まる。一方通行ではないやり取りが、喜びを生むのでしょうね」


共感を大切にしよう


番組を8年間続けてきたMITSUMIさんの話の中で、人々のエシカルに対する態度が2011年の東日本大震災以降大きく変容しつつあるのが感じられたというのが印象的でした。そこには、他者の痛みに対する「共感」があり、直接助けに行くことができなくても誰かの役に立ちたい。そういう人々の思いが現在のエシカル消費の根底にあるように感じられました。

「被災地に限りませんが直接的な触れ合いや人助けができなくても、モノを選んで買ったりする人助けであればより多くの人が参加できます。そうした選択肢も増えていますし、欲を言えばこの番組を通じてそれを提供した人たちともつながってほしいと考えています。」

「エシカル」という消費行動の新潮流。プロダクトの生産背景やストーリーに共感し、意識的に「エシカル」な商品やサービスを選ぶ人が増えているようです。自分の選択が誰かのためになるという実感。売り手と買い手の双方向のコミュニケーションが、この新しい消費行動を支えていくのかもしれませんね。

ベビーモスリン
http://www.babymuslin.org/project

MITSUMI
ラジオDJ。2003年デビュー。現在は84.7MHz Fm yokohama「 E-ne!~good for you~」を軸に活動。幼い頃から続ける登山をきっかけに、自然への関心を深める。生き物のにぎわいを探し求めてどこまでも。大事にしているのは様々なつながり。みんなが暮らしやすい優しい世の中になるよう日々発信中。

FMヨコハマ「E-ne!~good for you~」オフィシャルウェブサイト
http://blog.fmyokohama.jp/ene/

Written by: BAE編集部

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