2023-12-21

日本のEC化率は1割未満! リアル店頭の最適化こそ、売上拡大の近道!──次世代購買行動モデル「AES」

3つの視点で店頭力を改善する「AESモデル」活用法
コロナ禍のなかで社会全体のDXが加速。インターネット広告費も伸長し続け、いまやマスコミ四媒体の広告費を上回るまでに成長しました。しかし「購買の90%以上は依然としてオフライン、リアルな店頭で行われています。ところが、店頭には改善する余地が大いに残されているのです」と、電通プロモーションプラス 本間立平は語ります。

では、店頭を最適化するためには、どうすればよいのか。そこで生み出されたのが、3つの視点で店頭力を分析・改善するフレームワーク「AESモデル」です。その概要、活用法を、ショッパー・マーケティングに携わる、本間が解説します。

▼この記事は、こんな方におすすめです▼
・自店舗の店頭力(リテールパワー)を可視化したい
・店頭販促の効果を最大化したい
・勘や経験に頼らない、店頭の最適化を実現したい

※この記事を読まれた方限定で、「AESモデル」を活用した「店頭力診断」を、無償でご提供します。


売上の9割以上は、実店舗から生まれている

――コロナが収束した現在、街は以前の活気を取り戻し、店舗にも多くの人が訪れています。店頭販促の重要性も高まっているのではないでしょうか。

本間――コロナ禍で、世界中でEC市場が急速に拡大しましたね。しかし、日本では近くに24時間営業のコンビニがあるなど、生活の利便性が高いこともあるのでしょう。中国や米国とは異なり 、EC化率は現在も、非常に低いものとなっています。

2023年8月に経済産業省が発表した2022年の「物販系分野のBtoC-ECの市場規模」によれば、同市場の規模は13兆9,997億円。しかしEC化率は、9.13% と、1割にも満たないのです。

画像出典:経済産業省ウェブサイト「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」(https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230831002/20230831002-1.pdf


つまり、9割以上の売上は、実店舗から生まれているわけです。店頭に魅力がなければ、当然、その売上も生まれません。しかし、EC化にはお金をかけても、リアルの店頭づくりには、それほど関心を払っていないという企業も多いのではないでしょうか。非常にもったいない話です。店頭の最適化は、速やかに取り組めて、効果もすぐに表れるからです。

――しかし店頭の重要性は理解していても、“最適化”することは容易ではないですよね

本間――確かに容易ではないです。そもそも、優れた店頭とは、どのようなものか。何が良くて、何がダメなのか?それらがわからないと、どこから取り組むべきかがわかりません。課題の発見が大切なのです。

私は長年、ショッパー・マーケティングに携わっており、新しい店舗がオープンしたら足を運ぶことをライフワークのようにしてきました。その中で、「良い店頭」と「悪い店頭」の違いがわかるようになってきました。

例えば、「買い物しやすい」と感じる店舗は何が優れているのか。思わず商品を手に取り、「買ってしまう」理由はどこにあるのか。昨今はDXの一環として、店頭の魅力度を上げるために、デジタルサイネージの導入なども進んでいます。しかし、ただ漫然と設置すればいいというものではありません。先進的な店舗を見ると、サイネージの効果を最大化するべく、創意工夫がされていることがわかります。

私は、店頭視察やコンサルティングの経験から培ってきたノウハウをフレームワークに落とし込み、店頭の課題発見から解決までを実現する、購買行動モデル「AESモデル」を開発しました。


店頭を最適化し、売上を最大化する「AESモデル」

――本間さんが開発した「AESモデル」について、詳しく教えてください。

本間――「AESモデル」は、店頭力(リテールパワー)を可視化し、売りの機会を創出する購買行動モデルです。

前述の通り、私はさまざまな業態の小売の店頭マーケティングを調査・分析してきましたが、その過程で、購買率が高く、ファンが多い店舗、つまり「良い店頭」には、ある共通点があることを発見しました。それは、次の3つの要素(=店頭力)を兼ね備えているということです。

1. Attraction 「惹きつける力 」〜魅力的な商品との「出会い」がある
2.
Education 「教える力」〜興味関心を深める「学び」がある
3.
Satisfaction「満足させる力」〜いい買い物をした「満足」がある

この3つの頭文字を取って、「AESモデル」と名付けました。

「良い店頭」を構成する3つのチカラ。「AESモデル」では、この3つの指標を深掘りすることで、店頭を最適化する

――「AES」の視点で店頭を分析・改善することで、結果的に、画一的な店舗になってしまうことはないのでしょうか

本間――いえ、「AES」といってもその魅力は多様です。Attraction(惹きつける力/出会い)だけでも、さまざまな方法があります。
例えば、「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」といえば、 あらゆる商品を隙間なく天井まで積み上げる「圧縮陳列」が有名です。そこには宝物を探すような楽しさがありますよね。

答えはひとつではなく、店舗に合った「見せ方」があるのです。陳列はもちろん、店頭POPひとつ取ってもそうです。「良い店頭」には、顧客に寄り添った、さまざまな工夫があるものです。

「AESモデル」では、店頭力を「出会い」「学び」「満足」の指標で分析し、可視化する


AESの向上に寄与するキーワード

――例えば「AES」のうち、ひとつだけ飛び抜けている店頭は、「良い店頭」とは言えないのでしょうか。

本間――言えないこともありませんが、どれかひとつだけでは、ファン化=リピーターを増やしづらいと考えています。理想は、「毎日訪れても楽しい場所」になるか、もしくは特定ジャンル、例えばコスメを買うならココ!と、「選ばれる店」になることです。そう考えると、この3つの要素は常にあってほしいですね。

具体的なイメージを持ってもらうために、「AES」に関するキーワードをいくつかご紹介します。

1.「Attraction」を生み出すキーワード

Attractionは惹きつける力、魅力的な商品との「出会い」を意味します。いつも新鮮な出会いがあることは、良い店頭の必須条件とも言えます。例えば、Attractionのあるお店には、以下のような魅力があります。

・新奇性(新しい/話題の/奇妙な)
・シズル感(おいしそう/食べてみたい)
・提案性(おもしろい/やってみたい)


Attractionのイメージ。「出会い」は、購買体験の価値向上にもつながる

2.「Education」を生み出すキーワード

Educationは教える力、興味関心を深める「学び」を意味します。良い店頭からは、出会った商品やサービスへの興味関心がより深まっていくような情報がもたらされます。

・納得感(なるほど/腹落ちする)
・感動(すごい/知らなかった)
・深耕(欲しい/ますます)


Educationのイメージ。接客はもちろん、説明POPによるレシピ紹介、デジタルを活用した商品紹介も、学びにつながるアイデアのひとつ

3. 「Satisfaction」を生み出すキーワード

Satisfactionは、満足させる力です。「出会い」と「学び」が得られた後に、この場で買いたいという気持ちが満たされて「購入」が発生します。そしてその「満足」が将来にも得られそうだという期待があれば、買い物客は、ファンになっていきます。

・お得感(安い/ラッキー)
・安心感(安心/頼れる)
・永続性(次も/ずっと)


AESが担う、店頭のコンタクトポイント


――「AES」は、ひとつひとつがつながっていて、それぞれ役割があるのですね。となると、AESを活用する場所も、それぞれ異なるのでしょうか。

本間――はい。AESの役割に応じた、コンタクトポイントの設計が肝要になります。

1.Attraction
Attraction(惹きつける力)は、空間設計や外観、各売場やVMD(商品陳列)において、効果を発揮します。

ここで重要なのが、同じ店内でも、人は情報に対して、能動的な瞬間と受動的な瞬間があるということです。例えば、精肉売場にいる人は、お肉選びに能動的な状態にあるため、それ以外の情報を受け入れにくくなっています。

しかし、例えば、レジに並んでいる人というのは、ほかにすることがなく、受動的な状態にあり、お店からのセールのお知らせなど、幅広く情報を受け入れる余地があります。これは、電車の車内広告を、何となく見てしまう心理に似ていますよね。つまり店頭においても、「どこで」「何を」発信するかの見極めが大切です。

2.Education
Educationは、教える力。各売場での説明POPを活用したレシピ紹介や使用イメージ訴求、他にもデジタル上でのオンライン接客などがあります。

3.Satisfaction
Satisfactionは、満足させる力。リアルでの接客、各売場で安さを訴求するプライスカードや、思わず手に取りたくなるような陳列、デジタル上では、キャンペーンやクーポンの発行などが寄与します。


 

AESを活用した事例
〜スーパー、自動車ディーラー、ファストフードチェーン〜

いくつか「AESモデル」を活用し、店頭を最適化した事例をご紹介しましょう。

1.スーパー 〜「AESモデル」×買いたい空気づくり〜
某大手スーパーマーケット様では、店頭力診断の要望があり、実際に該当店舗を訪れ、さまざまな観点で調査を実施しました。
そのうえで、理解を深めてもらうために、競合となる好調店を「AES分析」し、その店がどんな部分で「店頭力」を高めているかを解説しました。

店頭POPを使って、高いレベルで「Attraction(惹きつける力)」、「Education(教える力)」が実現できていること。コミュニティスペースや会員特典のユニークさで、「Satisfaction(満足させる力)」が強く、一定のファンがついていることなどの診断結果をお伝えしました。

比較対象となるスーパーマーケットの「AESチャート」。診断書では、Attraction、Education、Satisfaction、それぞれの分析結果の詳細が記載される

2.自動車ディーラー 〜「AESモデル」×セールスマニュアル改善〜
自動車ディーラー様の事例では、セールスマニュアルの改善を「AESモデル」を活用して実施しました。来店から成約(購入)までの顧客心理を、惹かれる、共感する、確信する、そして成約につながるまでを「AES」をベースにカスタマイズ。「AESモデル」を活用し、顧客と展示車の距離感など、さまざまな視点で、セールスマニュアルの改善をご提案しました。

3. ファストフードチェーン 〜店頭ツールの全面改訂〜
某大手ファストフードチェーン様では、店頭ツールの改善を検討されていました。具体的な課題感が見えているわけではありませんでしたので、まずは「AES」の視点で、現状の課題を指摘。店内のどの場所で「AES」を強化すべきか、具体的な訴求内容やデザイン案までご提案しました。

どの事例も、「なんとなく」感じている課題感を、「AESモデル」によって可視化することで、課題発見から解決までを実現しています。


AESを活用した店頭力診断のフロー 〜実施から効果測定まで〜

――実際に「AES」を活用した店頭分析を行う場合、どのようなフローで実施するのでしょうか。

本間――AESを診断する方法には、さまざまなものが考えられますが、スタンダードなのは、専門スタッフによる店頭状況調査です。詳細を把握するために、利用ユーザーの調査や、ネットの口コミなども参考にする場合があります。

店頭状況の調査においては、店舗の外観から店内の細部に至るまで、かなり細かいチェック項目を作成し、スコアリングしていきます。こうしてAESを可視化することで、店舗の強み・弱みが“見える化”されます。それを基に、課題を発見し、改善のための施策を実施していきます。

「AESモデル」を活用した、店頭力診断のフロー

――AESの最適化を行ったあとの「効果測定」は、どのように行うのでしょうか。

本間――大手通信会社様の来店者分析ツールを活用し、来店者数の増減とその属性を把握して、効果測定しています。すでに複数の企業様と「AESモデル」を活用した店頭力診断および、店頭の最適化の事例があり、さまざまな効果を生み出しています。

――店頭力の可視化から、施策の効果検証までできる。この記事を読んで、「AES」に興味を持つ方もいると思います。

本間――そうなると、うれしいですね。実店舗の重要性が高まるいまこそ、ぜひ「AESモデル」を活用した店頭力診断、店頭の最適化を多くの方に体験いただけたらと思っています。きっと、想像以上の発見がそこにはあるはずです。

これまで実施した事例の詳細はもちろん、この記事の読者の方限定で、「AESモデル」を活用した「店頭力診断」を無償で実施させていただきます。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※この記事を読まれた方限定で、「AESモデル」を活用した「店頭力診断」を、無償でご提供します。
店頭の最適化、課題発見にご興味のある方は、下記URLよりお気軽にお問い合わせください。

https://www.dentsu-pmp.co.jp/contacts/sales

※「お問い合わせ内容」に、「AESモデルの店頭力診断希望」とご記載ください。


本間 立平
株式会社電通プロモーションプラス 統合プランニング事業部
ショッパー・マーケティングプランナー。行動経済学や心理学をベースにした「買わせるメソッド」の確立と応用。SNS環境下での消費行動~「ネタ消費」に基づいたコミュニケーションデザインに取り組んでいる。著書に『電通さん、タイヤ売りたいので雪降らせてよ。』『武器になる雑談力』がある。

Written by: BAE編集部

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